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あの時は大変だった… ページ13

薬研へ宣戦布告(?)をしてからはや数日。
これと言って何かが起きたわけでもなく、いわゆる【日常】を送っていた。

流石に主殿の部屋は四人が寝泊まり出来るほどの広さはなく、俺と薬研は近くの別の部屋にすることになった。

以前の部屋でもよかったんだが、他の刀剣と遭遇する確率も高く、何より汚い。

風呂に入り、着物も洗濯してもらい、綺麗さっぱり(羽織だけはまだ薄らと血の跡が残るが…)となったので、今汚いところへ戻るとなると流石に抵抗がある。

とまあ他にも色々と面倒なため新しい部屋を貰った。


正直、五虎退の見えない威圧の影響もあったが…これは黙って置こう。



この温かくも擽ったい日常にも徐々に慣れつつある朝のこと。


「旦那、傷の具合はどうだ」

『お、薬研くん、鶴丸さん。おはよ』

相変わらず水場に立つ彼。
初めは違和感満載だったが、今となれば見慣れたものである。

挨拶よりも先に傷の心配をする薬研に、呆れ笑いをこぼしながら答えた。


『心配してくれるのはありがたいが、そこまで過保護にならなくても大丈夫だぞ?』



「じっとしてろと言っても動き回るからな。この間洗濯してて、傷開いて、五虎退に平手打ちで怒られてた奴は誰だったか…」

顎に手を当て、後の方を強調しつつ藤色の目を光らせる薬研に、冷や汗を流し縮こまる主殿。

これではどちらが主か分かったものじゃないな。


そう、ついこの間、あまりにも働く主殿に薬研が「傷が完全に塞がるまでは動くな」と釘を刺していたにも関わらず、いつも通り仕事をしていたらしい。
それで、洗濯物を干している時、肩をあげた衝撃でぱっくりと傷が開いたのだ。
突然崩れ落ちるもんだから、俺ら三人ともヒヤッとしたさ。

すぐに薬研が手当を施してくれたから大事なかったが、あまりに驚きすぎて泣きじゃくった五虎退が平手打ちを送っていた。
あの五虎退が。主を叩くとは…。成長したなぁと客観的だった自分を思い出す。

慰めるのが大変だったなぁと、あの日を思い出して遠い目になる。
主殿も同じことを思っていたんだろう、目が明後日の方を向いている。


あの時めちゃくちゃ謝ってたからな。
泣き止ませるのに一刻ほどかかったからなぁ…。

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彩香(プロフ) - こすさん» お恥ずかしいですすみません。すぐに修正させていただきます! (2017年7月21日 13時) (レス) id: 5d501a6648 (このIDを非表示/違反報告)
こす - 真名=まな  だと思う (2017年7月18日 20時) (レス) id: 504739afed (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - 晋陽さん» 返信、大変遅くなり申し訳ございません!コメントありがとうございます!頑張ります! (2017年5月2日 12時) (レス) id: 5d501a6648 (このIDを非表示/違反報告)
晋陽 - 続きがとっても気になります!がんばってください! (2017年4月30日 17時) (レス) id: 698e01f38a (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - まーさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけると本当に嬉しい限りです!透明ララバイの方は更新が途切れてすみません。少しずつではありますが更新していきます。ありがとうございます頑張ります! (2017年2月26日 20時) (レス) id: 5d501a6648 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:彩香 x他1人 | 作成日時:2017年2月15日 21時

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