明るい朝 ページ2
鶴丸国永視点
「っ…んん…?」
降りかかる白い光に目を覚ました。
上半身を起こし、未だ光に慣れない目をぐりぐりと手の甲でこする。
頭と視界の靄が晴れると、ようやく透明な景色が見える。
己の手のひらを見て、ぐーぱーと開いては閉じを繰り返し感覚を確かめる。
背筋を伸ばし、パキッと背骨を鳴らすとそこまで体が痛くないことに気がついた。
辺りを見回し、そこで自分が柔らかく温かい布団に寝かされていたと知る。
隣には五虎退がすやすやと眠っており、審神者の姿は見えなかった。
「…?なんの音だ…?」
戸を挟んだ隣の部屋から、何やら煮える音が聞こえる。
同時に鼻をくすぐる優しい匂い。
自然と足がそちらへと向かう。
静かに戸を開けば向こう側は厨になっていて、そこには審神者の後ろ姿があった。
立って平気なのか、もう痛みはないのか、聞きたい事は沢山あるし、傷の心配もあった。
しかし、声をかけようにも昨日のこともあり、少し…いやとてもかけづらい…。
渋っているとこちらに気がついた審神者が声を上げた。
『ん、あぁ鶴丸さん。おはよう、ずいぶん早いな。よく寝れたか?』
きつめの目元はふわりと緩められ、眠っている五虎退を気にしてか少し小さな声で問うた。
「ぁ…あぁ…その…すまない、世話をかけた…」
『ん?いや、別になんもしてねぇよ』
作業する手を止めて、体をこちらへ向ける。
世間話…と言うか、ただ軽く話したかっただけなんだがな…。
厳つい見た目とは裏腹に、こういった細やかな気遣いができるヤツなんだ。
昨日のこともそうだが、こいつは優しい人間なのだろう。
上辺だけじゃなくて、ちゃんと俺らの事考えてくれてる実感がある。優しくする時は面と向かって笑ってくれて、いけないときはしっかり叱る。
飴と鞭の使い分けが上手い、とでも言うのだろうか。
柔らかいだけじゃ優しさじゃない。時に道を外した俺達を引っぱたいてでも戻してくれるような、そんな逞しさ。
なんかいいな、こういうの。
「クスッ…作業を続けてくれ。そんな混んだ話をしたいわけじゃない」
『んぉ…?そうか?悪いな、こんな事ならもっと早くから準備するべきだったなぁ…』
930人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
彩香(プロフ) - こすさん» お恥ずかしいですすみません。すぐに修正させていただきます! (2017年7月21日 13時) (レス) id: 5d501a6648 (このIDを非表示/違反報告)
こす - 真名=まな だと思う (2017年7月18日 20時) (レス) id: 504739afed (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - 晋陽さん» 返信、大変遅くなり申し訳ございません!コメントありがとうございます!頑張ります! (2017年5月2日 12時) (レス) id: 5d501a6648 (このIDを非表示/違反報告)
晋陽 - 続きがとっても気になります!がんばってください! (2017年4月30日 17時) (レス) id: 698e01f38a (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - まーさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけると本当に嬉しい限りです!透明ララバイの方は更新が途切れてすみません。少しずつではありますが更新していきます。ありがとうございます頑張ります! (2017年2月26日 20時) (レス) id: 5d501a6648 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:彩香 x他1人 | 作成日時:2017年2月15日 21時