もしも君のための世界なら (ページ27)

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誕生日/浮気/青ページ27

匂わせのストーリーなんて嗅がなきゃ意味がない。頭でわかってはいても、鼻が嗅ぎ付けてしまう。

深夜０時半のストーリー、電車の窓から外を向けた映像、15秒のブーメラン。反射して写る二つの影、《昨日楽しかったありがとう》その一言。

まだ今日でよかったんじゃないの？わざわざ今日ではなかったことを主張するかのように、昨日と書かれた文章に虚しくもなった。

高校生の頃は誰かがストーリーでお祝いしてくれたり、メンションしてくれたストーリーを自分のストーリーにあげてた。それに釣られて、話したことない人もdmをくれたり。

せめて、一人でもよかった。
もういっそ、親でもよかった。

好きなバンドのファンクラブの誕生日メッセージすら届かない。そう、そのメッセージはたしか、当日のお昼にくるはず。

数分後に上がる、ストーリーにはきっと、え、彼氏？！と届いたdmに、ちがうよー！相談のってたのー！と付け加える。見せつけるような匂わせに、嗅ぐな、と、本能的に構えても、鼻は勝手に嗅ぎに行く。

誰かが好きだとか、誰かが嫌いだとか、どうでもいいから、愛されたかった。誰かに。

いつからか、彼が、慧が、本当に好きなのかわからなくなって、距離をおいてしまったことを後悔する余地もなくなってた。

だから、

だからきっと誰一人悪くない。

【不在着信】
【不在着信】
【不在着信】
【慧さんからメッセージが届きました】
0:38

〆