紅一点/同期/紫/酔っ払い ページ23
「…………くっそねむい、しぬ」
『こら、口悪いよ』
たかぎぃ、ホテルまで連れて帰ってよぉ〜〜？と言う彼女は、ついさっきまで「オーラス行くぞ札幌騒げーーー！！！」とか「…ばーか、好きだよ」とかキラキラアイドルを務める我らがJUMPの紅一点。
お酒を飲むとキャラが変わるのは承知の上、なんだけど。今日のAは一段と機嫌が、良かった。悪かったのではなく、良かったのだ。
「ねー雄也今日上がったら飲みいこー！」
山田「Aちゃんギャルみたいで可愛いね」
「へへっ、かわいいっしょー？涼ちゃんどう？」
明るめの茶髪をまとったAは、ふわっふわに巻き上げた髪の毛に、いつもよりキラキラの大きなアイシャドウを散りばめていた。それがどうだ。
ホテルの近くにある居酒屋で、さすがに唐揚げには出来なかったらしく、色んな漬け物をツマミにビールをぐびぐび飲みまくっている。それもどうかと思うけど。
「うっ、」
『え、A吐きそう？』
「あ、そんなことは全然ないから安心して」
そう、これで全然シラフなのだ。Aが酔うことは有り得ない。ジャニーズでも指折りの酒に強い方で、滅多に飲まないくせに飲み出すと止まらない。メンバーと飲みに行くと大抵Aだけが一人元気で、一番始めに潰れてしまった人を起こして２周目。むしろ怖い。
『ずいぶん飲んでらっしゃるけど』
「だってさあ、聞いてよたかぎ！」
たか
珍しくコンサートの３日も前に前乗りしたAは、愚痴が止まらない。口が悪すぎるので省略しておく。
「前乗りで、元彼の結婚式に行ったわけ」
「結婚相手は親友なんだけど、」
「元彼とは結婚前提で付き合ってたからさ」
『え、そうなの？』
「うん、元彼の親にすごいネチネチ言われて！」
「ムカついてんのよ、来たときから。」
『そりゃ流石に俺でもムカつくわ』
「Aちゃんが結婚してくれないから！って。」
「いや別れたのは私のせいじゃないっつーの！」
溢れる愚痴が止まらない。これだからモンペは困る。とこぼすA。こういうとき、何て言うのが正解なんだろうか。きっと、誰彼なら、俺が幸せにするから、とか言えたりすんのかな。
いったい、Aと、9人と、キラキラアイドルしていられる、この幸せはいつまで続くんだろうか。
〆
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作者名：ヒロイン症候群 | 作成日時：2021年5月12日 15時
