同級生/青/密会 ページ22
コツコツと高いヒールを鳴らせてやって来る君と、いつもの場所で待ち合わせをした。半個室の焼肉屋。今日もアホみたいに高いヒールを履いて、ギリギリ身長は抜かれない、くらい。
『またシルバー？』
「だってこれが似合ってるっしょ？」
『まぁ確かに似合ってはいる』
「ホラ見た」
何故かシルバーの髪色をふわふわと巻き下ろして、今日は結構薄めのメイク。それでもよく会う芸能人と見劣らないくらい華やかで、女の子って本当にさすがだなと思う。
「なに？じろじろ見て」
『いやぁ、俺らもうアラサーなんだよなって』
「いや大丈夫、気持ちは26」
『見た目は確かにいけるけどさー』
「それより慧の方がヤバイんじゃないの」
『んー？』
「週刊誌に書かれちゃうよ」
『なんて？』
「《ヘイセイ伊野尾美女ギャルと焼肉デート》」
『それ自分で言う？』
「面白いからいいんだよ」
『そう？じゃあ、付け足しとこ』
「ん？」
『《ヘイセイ伊野尾美女ギャルお持ち帰り》』
「馬鹿、肉焦げるよ」
『え〜やめてよ焦げてるのやだ』
「普段からいいもの食ってんでしょ」
『今日は更に良いもの食べる予定だけどね』
「……！？、な、に言って……」
ㅤ
いや、最後のあれは俺の理想だったかも。本当は何て言ってたっけな、「30過ぎて、相手がいなかったら慧と結婚しようかな」だったっけ。
『懐かしいなあ、』
まさか、そんなことを考えながら手を合わせるなんて思わなかったよ。あまりにも呆気なく
「怒ったら慧が一番怖そう」
『Aにキレること無さそうだけど』
「大体、何にキレるの？」
『えー……』
〆
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作者名：ヒロイン症候群 | 作成日時：2021年5月12日 15時
