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「なぁに」
『…まぁこんなご時世ですから』
「うん」
『休みが多いわけじゃん』
「うん」
『ほぼ家にいるし、いなきゃいけないし』
「うんそうだね」
『Aは俺にしか会えないし俺はAにしか会えないわけじゃん？』
「まぁそうなるよね」
『今までは仕事が忙しくて一緒に住んでんのにすれ違いとか全然あったじゃん』
「うん」
『こんなに毎日一緒にいられることないだろ？』
「…まぁそうだね」
『だからぁ』
「うん」
『……ちゃんとコミュニケーション取ろうって言ってんの』
結局それ？
言いたいのはそれなの？
昨日散々一日中ゲームをやっていた彼は
何自分のことを棚に上げて言ってきているんだろう。
「え、あのさ、」
『はい』
「自分は平気で一日中ゲームとかしてるよね？」
『………』
「構ってほしいときばっかりそう言うのずるくない？」
『だって構ってほしいんだもん』
開き直ったよ！この男！
自己中極まりない！！！
「無理！」
『は！？なんで！やだ！』
「わがまますぎ！Aが構ってほしいときに構ってくれないくせに！」
『構ってんじゃん！』
「はー！？昨日なんて言ったか覚えてる！？んー、後で後で。だよ！？」
『…記憶にない』
「最低。ゲームしてろ」
『ごめんって！起きてよ！』
「なんで？起きてもすることないじゃん」
『あるよ』
「なに？」
『俺と話す』
「話すことないよ」
『それは酷い』
しつこい大貴に段々面白くなってくる。
どれだけ起きてほしいの。
「起こして」
『はいはい』
無理矢理手を引っ張られて起こされる。
起き上がった瞬間、ぎゅっと抱き締められて。
「…なに？」
『……Aが居てくれることの幸せを噛み締めてる』
「…どうしたの、急に」
『当たり前だった毎日が当たり前じゃなくなってさ』
「…うん」
『いつどうなるかわからないもんだよな、って…思った』
「………」
『ごめん、ずっとゲームしてて』
「…ふふ、反省したんだ？」
『うっせ。せっかく一緒にいられる時間が出来たんだから大切にしなきゃなって思い直しただけですー』
わしゃわしゃと雑に頭を撫でてから
寝室を出て行く彼。
キャラに合わず口が悪いところも、
急にデレるところも、
照れてすぐツンとするところも、全部が大好き。
〆
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作者名：ヒロイン症候群 | 作成日時：2021年5月12日 15時
