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「で、どんなお喋りする?」
「あ、あ、あのっ、洋平さんっ!?」
「俺の部屋ならゆっくりお喋りできるでしょ?
ただのお喋りが嫌なら躰でお話ししてもいいよ?」
ベッドの上に組み敷いて、
肩を押さえた状態で、
そんなことを言ってみる。
どうせさ、
こういうことされたら嬉しいんでしょ?
「、、洋平さん、、どうかしたんですか?」
「なにが?」
「なにかあったんですか?」
「・・・別に。なんもないよ」
「そんなこと、ない、、ですよね?」
「・・・なんでそう思うの?」
「だって洋平さんはバンドの経歴に傷が付くようなこと
する人じゃないから、、、」
「、、ッ、、それがなんなの?」
「・・・だから、自分のファンに手を出すような真似
絶対にしない、、ですよね?」
・・・なんなんだよ。
なんでそんなに鋭いの?
自暴自棄になってることまで見破られて、
俺、めちゃくちゃかっこ悪りぃじゃん、、、。
そう思ったらガクッと身体から力が抜けて、
さっき出会ったばかりの見ず知らずの彼女の体に
覆い被さってしまった。
だけど、立ち上がる気力もあんまり無くて、
彼女の肩辺りに顔を埋めて
「・・・少しだけ、このままでもいい?」
「、、はい、、」
そう言ってくれた彼女の手が、
おずおずと俺の頭に触れた。
襟足あたりを、猫の首の後ろを撫でるみたいに
彼女の指が遠慮がちに優しく触れる。
いつもはそんなことされたらくすぐったくて、
ヘアメイクの時でさえ力んで我慢してるのに
なぜかその時だけは、撫でられる指先に
安らぎのような気持ちを覚えた。
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昨日のアレは一体なんだったのか。
2daysの公演を終えて帰る新幹線の中で
ふと、考えた。
撫でられる指先がやけに心地良い気がした。
「ねえ、まーくん。俺の頭撫でてくんない?」
「は?なんで?」
「猫の首、撫でるみたいにさ」
「だからなんで」
「猫、飼ってるでしょ?」
「飼ってるけどまだ初心者だし、
猫の首の撫で方の正解も分かんないよ」
はー、まーくんはダメだな。
猫飼い始めたから出来るだろうとお願いしたかったけど
こういう照れるようなことはやらない人だった。
無茶振りにはめっぽう強いのに、
なぜか照れが入ることには
抵抗があるみたいなんだよね。
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叢雲(プロフ) - 瑠々花さん» 更新してなくてごめんなさい。コメントありがとうございます。私も色々思い出しながらニヤニヤして書きました。笑 (7月20日 0時) (レス) id: bf683032b6 (このIDを非表示/違反報告)
瑠々花(プロフ) - 更新ありがとうございます( ; ; )名古屋行ったので色々情景が思い浮かびやすくてニヤニヤしちゃいました笑 (7月18日 9時) (レス) @page29 id: 45b0ee4422 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 叢雲さん» できました!ありがとうございました!これからも読みまくります!(*^^*) (2022年7月8日 10時) (レス) id: 8f47c95fc9 (このIDを非表示/違反報告)
叢雲(プロフ) - ゆきなさん» 初めまして。更新していないのにコメントしていただいてありがとうございます。オトナ作品はログインした状態でこの作者の作品を全表示からご覧ください。表示されない場合はマイページの設定でご自身の年齢設定、検索の表示も確認してみてください。 (2022年7月2日 12時) (レス) id: b3fc7702ca (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 叢雲さん、初めまして!どれも最高すぎてニヤニヤしながら読んでます笑 ところで[A] Under Groundってどうやったら読めますか?(;_;) オトナのシーンも読みたいので…(T^T) (2022年6月28日 10時) (レス) id: 8f47c95fc9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:叢雲 | 作成日時:2021年5月20日 19時