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#150_指先に、恋 ページ7

*





その日は、地方公演2日目の朝だった。




滞在先のホテルで、鬱蒼とした気分を少しでも晴らせないかと
出掛けようとして廊下を歩いていたら
ちょうど部屋から出てきた人とぶつかった。




「あっ、ごめんなさい!」

「ああ、いえ、こちらこそ」




振り向くと、ふぁぁ!と言う
息を吸い込みながら言葉を飲む声がした。




「えっ!洋平さん?!、、ですかっ?」

「あ、はい。洋平です」




あちゃー、
ぶつかったのファンの子かあ・・・。
最悪だなあ。


さっきも言ったとおり、俺は鬱蒼とした気分をなんとかしたくて出掛けようとしてたから
今はファンの子を相手にするような気分じゃないんだよね。




「あ、あのっ、今からリハーサルですか?」

「いや、まだ。
ちょっとコーヒーでも買いに行こうかなと思って」

「そうだったんですね。
あ、今日もライブ見に行きます!」

「昨日も来てくれたんだ?」

「はいっ。あと、名古屋も行きました!」

「そうなの?ありがとねー」




そう言って、そこで切り上げるつもりで
立ち去ろうとしたんだけど




「いつもは何公演か行くんですけど、
今回はFCの申し込みで1公演しか当たらなかったから
めちゃくちゃ焦っちゃいました!」




彼女の話はそこで終わりそうもなかった。




「・・あー、じゃあ今日はどうしたの?」

「公式のトレードでなんとか当たりましたー」

「へー、そうなんだ」




なんだか色々話されて長くなりそうだなー、
なんて思いながら適当に返事をした。




「あっ、、ごめんなさい!お時間取らせてしまって!
急いでますよね」

「、、、いや、そんなことはないけど、、」




あー、ヤバ。
ちょっとめんどくさくなってきたのが、
今の返事の仕方で完全にバレたみたい。


ごめんなさいって言った彼女の顔が、表情が、
全てを物語ってる。




「すみません!つい嬉しくてたくさん喋っちゃった!
えと、じゃあ、今日のライブも楽しみにしてます!」




彼女は焦ったようにそう言うと、
くるっと俺に背中を向けた。





*

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叢雲(プロフ) - 瑠々花さん» 更新してなくてごめんなさい。コメントありがとうございます。私も色々思い出しながらニヤニヤして書きました。笑 (7月20日 0時) (レス) id: bf683032b6 (このIDを非表示/違反報告)
瑠々花(プロフ) - 更新ありがとうございます( ; ; )名古屋行ったので色々情景が思い浮かびやすくてニヤニヤしちゃいました笑 (7月18日 9時) (レス) @page29 id: 45b0ee4422 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 叢雲さん» できました!ありがとうございました!これからも読みまくります!(*^^*) (2022年7月8日 10時) (レス) id: 8f47c95fc9 (このIDを非表示/違反報告)
叢雲(プロフ) - ゆきなさん» 初めまして。更新していないのにコメントしていただいてありがとうございます。オトナ作品はログインした状態でこの作者の作品を全表示からご覧ください。表示されない場合はマイページの設定でご自身の年齢設定、検索の表示も確認してみてください。 (2022年7月2日 12時) (レス) id: b3fc7702ca (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 叢雲さん、初めまして!どれも最高すぎてニヤニヤしながら読んでます笑 ところで[A] Under Groundってどうやったら読めますか?(;_;) オトナのシーンも読みたいので…(T^T) (2022年6月28日 10時) (レス) id: 8f47c95fc9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:叢雲 | 作成日時:2021年5月20日 19時

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