私は別に不幸でもいい

番外編 敦くんの誕生日 後編 ページ6

「中島 敦さんですか？」

「はい そうですけど どうされましたか？」
不安そんな顔でこちらを 見てきた

「覚えてらっしゃらないかもしれませんが、以前助けていただいて……」
「こちら 貰って頂けませんか？」

「えっ 助けた……？ ごめんなさい 覚えてなくて…ありがとうございます！ いただきますね
今日ちょうど誕生日なんですよ」
そうはにかみながら伝えてきた

昔と何も変わらない 泣きそうになる
敦くんはなんでこんなに美しいんだろう

私が触れてしまっていいのだろうか こんなに真っ黒な私が

光だ 私の 光………
「どうされました？」

「えっ」
「泣きそうな 顔をしてるように見えて…」

あぁ 敦くんって人は

「なんとも ないですよ 受け取ってくださってありがとうございます。
行きますね」
「あっはい！ ありがとうございます！帰ったら開けますね！」

「……はい！」


ただいまー といっても 誰もいないけど…

そんなことを思いながら貰ったものに目をやる

綺麗にラッピングされている
さっきの人 助けてもらったと云ってたけど
違うような もっと 昔にあったことがあるような……

ラッピングを剥がし終えて中身を見る

小説のようだ 題名は＿

「きらきらひかる」
この本 どこかで……

あぁ そうだ あの子が読んでた

そう思いながら本を開く

「あっ なんだこれ……」
本の隙間から落ちたものを拾い上げる

お誕生日おめでとう
栞にそう書かれていた。

あの人は 僕の誕生日を知っていた？
もしかして…

あの人は 彼女だったのか？
Aその名前が思い浮かんだ。

彼女はAちゃんだったのだろうか
もう分からない けど

もしそうだとしたら


ありがとう いつか ちゃんと会ってまた

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