1. ページ2
．
ピピッ…
無機質な電子音が、路地裏で小さく鳴る。
｢此方八重樫、目標に近づいたわ｣
『了解。僕達もすぐ向かおう』
｢了解｣
ピピッ…
虎視眈々と獲物を狙うかの如く、獲物の背後から近づく。
あぁ、つまらない。何故私は今こんな事をしているのだ。
にじり寄って最後に獲物を狩ることができるなら良いが、様子を見てまた次の機会、という事も今まで嫌という程体験してきた。
私は好戦的な性格なのだ。初めから武力で片付けたい。
証拠がないなら拷問すれば良い。
…まぁ良い。この詰まらなすぎる作戦の後は私の得意分野、武力でこいつらと遊んでやろう。無理やりにでも。
そんなことを考えていると漸く彼らが到着したようだ。
｢…遅いじゃない、｣
｢僕のせいじゃあないよ。この犬が暴れるから時間を食ってしまったんだ｣
｢ふぅん。躾のなってない犬ね｣
この犬、というのは隣にいる中原中也の事であろう。中也の(自称)飼い主である太宰治は中也に偉くご執心のようで、こうやって常日頃から犬扱いをしている。好きな子をいじめたくなる、あの謎の心理だろう。
｢誰が犬だ！殺すぞ！｣
｢しっ、余り大きな声を出さないで｣
ただでさえ敵の近くにいるのだ。こんな所で喧嘩なんておっぱじめられたらたまったもんじゃない。
｢次喧嘩したら殺すわよ｣
｢あぁ？手前に俺が殺せるかよ。…おっ、｣
丁度私たちが痺れを切らした頃、漸く目標が決定的な行動を起こす。
此方が事前に推測していたように、どうやら武器の不正な取引をしているらしい。
こんな10数人余りの見張りでよく乗り切れると思ったな。
｢…彼ら、随分と不用心に取引をしているのね｣
｢足跡は残していない筈だし、直接ポートマフィアに関わる悪事を働いていない。見つからないと鷹を括っているんだろうね｣
｢けっ。舐めたマネしてくれんじゃねェか。…早く楽にしてやろうぜ｣
これが突入の合図だった。
３人で一斉に飛び出し、そして標的を1人ずつ、素早く、確実に…
と思った矢先、
｢…えっ、｣
｢……、｣
｢…は？｣
｢今日の授業はここまで。居眠りをしていた生徒は…分かってい…る……な、｣
見える先はどこかの部屋。
目を見開き教科書(と思われる書籍)を床に落とす教師と、同じく目を見開き唖然としている生徒。
つまり、此処はどこかの学校だということだけが今3人に分かる確かな事実だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 192人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆちゃまる(サブ)(プロフ) - 紅さん» えええありがとうございます！そう言っていただけて、本当に活力になります…頑張ります！ (6月21日 7時) (
レス) id: d2edcaedd0 (このIDを非表示/違反報告)
紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (6月21日 7時) (レス) @page7 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆちゃまる(サブ) | 作成日時：2020年5月20日 18時
