検索窓
今日:11 hit、昨日:4 hit、合計:77,014 hit

灰色の猫 ページ9









雨に背中を押されて連れられたのは、学校から5分ほどしか離れていない小さなアパート。



びしゃびしゃのまま部屋に入って柔らかいタオルを借りた。



奥に進めばCDとレコードが積み重ねて置かれていて、汚くはないけど綺麗でもない部屋。


ただ優しく香る甘い匂いはさすがに女子だなと思う。




彼女は俺の脱いだ靴下を脱衣場に持って行って変わりに暖かいココアを持って帰ってきた。




恐る恐るその甘い液体に口付けると女の子みたいだと彼女に笑われる。



次に渡されたのは灰色のスウェット。



章大の、と渡されたそれを着てもいいのか躊躇った。



湿気ったカバンから新品のタバコを取り出す。







口に咥えて火をつければ目の前にコト、と置かれた皿に瞬きして彼女を見た。




「灰皿。それあげるわ」


「いいん?」


「ええよ笑、可愛いやろ?猫やねんで」



普通気に入ってる皿を灰皿にくれるか?変わってんな、と言えばすばるもやん、と笑って浴室へ向かうその背中を横目にもう一度煙を深く吸う。




タバコを吸っても何も言わずに灰皿を出す彼女は、タバコを吸えばうるさく怒る俺の想い人とは違う居心地の良さを持っていた。




吐き出した煙は甘い匂いを搔き消して、俺の手元に残ったのはタバコの吸い殻と猫の器と灰色のスウェットだけだ。









お風呂からなるべく早く上がって部屋に入ると、未だにびちょびちょの制服を着たままのすばるがCDの山の前に座り込んでいた。



「風邪ひくで、お風呂入ってき?」


「うん。なあ、このCD、」


「ええやろ?初回限定盤A。学校休んで買いに行ってん」


「後で貸して」


「学ランのお礼な」


「は?それやったらもっと高いやろ笑」


「アホか笑」



バスタオル新しいの借りるわ〜、と浴室に入っていった背中は、透けて寒そうだ。



香る苦い煙の中で先程のCDをかけた。









君の音→←スウェット



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (127 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
234人がお気に入り
設定タグ:関ジャニ , 夢小説 , やすば
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

じょび(プロフ) - ブルームーンさん» ありがとうございます! (2019年4月14日 9時) (レス) id: 7786978901 (このIDを非表示/違反報告)
ブルームーン(プロフ) - すごく好きです! (2019年4月14日 9時) (レス) id: 59c9fbe9e5 (このIDを非表示/違反報告)
じょび(プロフ) - みきさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです!心を込めて更新させていただきますね (2019年4月12日 10時) (レス) id: 7786978901 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 展開悲しすぎる!ヤスくん気づいて! (2019年4月12日 8時) (レス) id: 6669154ca8 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 次の展開が気になって仕方ないです。ハラハラドキドキしながら更新待っています。 (2019年4月12日 7時) (レス) id: a229f99d7b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:じょび | 作成日時:2019年3月30日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。