あなたと私、ときどきあの子。【やすば】 (ページ4)

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間違いページ4

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自分の自己中心的な決断に後悔した。

俺と幼稚園から一緒の幼馴染は最近好きな奴ができたらしくて、

そいつを見る目は確かに俺とは違うと思うと俺はさっさと彼女への長年の恋心を諦める決意をすることができた。

相手は軽音部で仲のいい安田章大、通称ヤスで、人気バンドのギターを務める優しいイケメンだ。

それに加えて奴は成績もいいらしく俺は太刀打ちできない。

昨日渡されたダンスのペアの用紙を見ながらもじもじと指を動かす彼女に｢あいつ誘えばええやんけ、｣なんて後押しした俺。

その言葉に嘘はなくてこれでいいと思っていたけど、

それが間違いだったと知ったのは次の日だった。

顔を真っ赤にしながらその用紙を握りしめる彼女の背中をさすりつつ理系クラスへ向かう。

普段文系の日本史選択な俺達には縁のない教室からヤスを呼び出した。

彼女の精一杯の提案に照れた様子で、それでいて確かに困った顔をしたヤスは教室から女子を一人呼び出す。

どうしたん？、と教室から出てきた女は俺と彼女を見ると察した顔をしてヤスを見た。

彼女はヤスのバンドのドラムで、凛々しく力強いそのリズムは俺達の中でも最近話題だった。

顔色を伺いながら先程の提案をしたヤスを見つめる彼女の瞳は優しく、そして儚くて、一瞬にして彼女は俺と同じ立場にいるのだと理解する。

いや、それより辛いことに彼女はまだまだヤスへの恋心を諦めきれていないし、なにより既に彼と踊る約束をしていたようだ。

その時にはじめて、俺が幼馴染の背中を後押しした選択は間違っていたのかもしれないと思った。

俺はこの独りよがりの小さな優しさと愛で、決して踏み入れることは許されない彼女の恋を摘み取って握り潰したのだ。

昨日彼と踊れるのだと期待した彼女の気持ちは今やどん底に落ちて泥だらけになってしまっただろう。

どんな顔をしていいのか分からない。

けれど、俺は彼女と目を合わせる義務がある。

彼女の方を見ると、俯きがちに少し笑った彼女は次に俺としっかり目を合わせた。

｢ペアおるん？｣

｢いや、｣

｢ほんなら私と組んでくれる？｣

｢、俺でいいん？｣

｢だって章大と組まれへんから笑｣

｢わかった｣

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