あなたと私、ときどきあの子。【やすば】 (ページ13)

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やさしさのおかわりページ13

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カタカタと小さく主張する完璧なこのリズム音の中で意識が行ったり来たりするのは既に3度目のことで、俺はゆっくり目を開けた。

首を音のする方に向けると楽しそうに左右に揺れ続ける背中。

汗だくの体を傾けるとごそ、となった音に気づいたのか、揺れが止まって彼女が振り向いた。

すばる、と名前を呼ばれるのはもう何度目のことだろうか。

前に座った彼女は俺の冷えピタを貼り変えると、洗面器の氷水に浸した綺麗なタオルを絞ってゆっくりと俺の顔周りや首を拭いた。

心地いい冷たさにため息が漏れる。

｢スープ作ったけど、飲む？｣

｢飲む、｣

｢あっためてくるから待ってて｣

コンロに向かった彼女の背中を目で追いかけながら布団を剥いだ。

少し経つと優しく胃を刺激する匂いがして、ことりと机に器が置かれる。

だるい体を起こして、口をつけると思っていた通りの優しい味がした。

｢食べれる？｣

｢ん｣

｢今日それしか言うてへん笑｣

｢ん、笑｣

俺を優しすぎると言った彼女の方こそ俺に優しすぎると思う。

ヒラリと落ちているレシートは今日の日付で、時刻は早朝を表していた。

横目で見た彼女はテレビのチャンネルを回しながら大きくあくびをしていて、思わず口角が上がってしまう。

振り向いて、なに、と聞いた彼女に空になった器を差し出した。

｢おかわり｣

おかわり、と差し出された器に、軽くスープ注いだ。

ふーふーと息を吹きかけながらゆっくりそれを口に含むすばるは朝より幾分か体調が良さそうでほっと一息つく。

｢しんどい？｣

｢朝よりまし、｣

｢冷えピタ変えたるわ｣

｢ん｣

子供みたいに目を閉じて私の指先を待つすばる。

なんだか可愛くて笑いながらぬるくなった冷えピタをそっと剥がす。

新しい冷えピタを1枚ゆっくりと貼り変えると冷たそうに、う、と呻いたすばるはゆっくり瞼を開いた。

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