あなたと私、ときどきあの子。【やすば】 (ページ11)

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きみはお熱ページ11

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｢急に深いな笑｣

｢...｣

｢分からへん、けど気持ちいことちゃう？｣

｢楽しむとかやなくて？｣

｢うん。気持ちいのは客にも伝わるから。｣

｢...俺もそう思う｣

その返答に納得した。

だって彼の歌声とギターはいつも観客を気持ちよくさせるから。

少したってスウスウと聞こえてきた寝息の中で、私はまたスティックを鳴らした。

私の出す音は、誰かを気持ちよくしているだろうか。

｢ん...｣

あの後私は、結局ベッドでそのまま寝てしまったすばるの横に布団を敷いて眠りについた。

射し込む朝日に照らされて、開かない瞼を擦る。

ベッドの方を見れば布団の塊が静かに息をしていて、すばるはまだ寝ているのだろうと思った。

｢すばる、｣

返答は無い。

すっぽり頭まで被った布団を首元まで剥ぐと、見えたのは綺麗な寝顔。

しかしその呼吸は荒い。

｢すばる？｣

そっと手をその額に当てるとそこはとても熱く、その手を頬から首元まで移動させて撫でればリンパが腫れているのがわかった。

風邪だ。

きっと昨日濡れたままリビングで待っていたからだろう。

苦しそうに呻いて寝返りを打ったすばるに暖かく軽い毛布を被せて財布を持った。

部屋から出てそっと鍵を閉め、近くの薬局へ走る。

冷えピタと、風邪薬と、何がいる？冷静じゃない頭は現状分析できなくて、とりあえず深呼吸した。

スポーツドリンクと新品のタオルと氷を買おう。

お金を払ってまた薬局から走る。

｢あ、A！どうしたん？そんな急いで｣

｢章大！おはよう！ちょっと急用！！｣

｢そうなんや笑、今日と明日って練習、、｣

｢ごめん今週は無理や！！！今度埋め合わせする！！｣

いつもなら一分一秒でも長くしたい章大との会話も今は求めてなくて、苦しそうに息をするすばるの顔が頭に浮かんだ。

好きな子の恋を応援したり、私に学ランを貸したせいで風邪をひいたり、ほんとに優しくてほんとに馬鹿だと思う。

きっとあのスウェットを着るのに躊躇したんでしょ？

階段を駆け上がりドアの鍵を開けて、そーっと部屋に入ればすばるはまだ寝ていた。

汗で張り付いた前髪を払ってその額にさっき買ったばっかりの冷えピタを貼る。

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