11.勿体ないとは思わないけれど ページ11
週明けの月曜日。
ユラ「デート断っちゃったの!?」
朝の静かな教室で、ユラが叫んだことでクラスメイトの視線が私たちに突き刺さる。
しかしそんなこともお構いなしに、それとも気づいていないのか、話続けるユラ。
ユラ「なにしてんの?勿体ないよ。」
普通に話すユラとは反対に、注目を浴びたくない私は少し小声になる。
A「知ってるでしょ?ヤクザ嫌いなこと。なのにどうしてヤクザとデートしないといけないのよ。」
ユラ「嫌いだとしても、あの人とはいった方が良いと思うんだけど?」
A「ユラが好きなのは顔でしょ?」
ユラ「いや顔もだけど、性格も、でしょ。」
じゃあ私には関係ない。
あの男を好きになれないし、関わりたくない。
一ミリも、勿体ないとは思わない。
なのに
ユラ「でもきっとね〜、数日会わないと寂しくなっちゃうものなんだよ、人はさ。」
そう呟くユラに、はっと、気づかされる。
金曜日から二日あっていないだけなのに、随分と長い期間会っていないような気さえする。
あの男、ジョングクと毎日会うことが習慣になっていて、特別なことだとも思っていなかったけれど、ユラの言葉で、それが私にとってどれだけ特別なことか分かった。
きっと、他のヤクザにはない何かを、彼は持ち合わせているのだろう。
そうでなければ、私がこんなにも、
惹かれるはずが、ない。
ユラ side
私の言葉に顔を染めるAを見て、とうとうAも大人になったか。
そんな娘を見ているような気持ちになってしまう。
Aと出会ったころは、あんまり笑わないで、いつも儚い雰囲気を纏っていることが多かったのに。
いつの間にか、成長していることに嬉しい気持ちになる。
Aとジョングクさんが付き合うのも時間の問題だと思うけれど、Aのこと泣かせたらまじで殴っちゃうから。
一人悶々と顔芸を繰り広げているAを見ていると、私まで笑いそうになる。
上手くいかなかったら、それはAのせいじゃなくて、あの男のせいだよね。
だってこんなにも美人で気遣い上手な自慢の友達は、きっと一生Aだけしかいないから。
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作者名:もぐもぐどよち | 作成日時:2023年2月5日 21時