あなたの笑顔【ワールドトリガー】

１０話 ページ11

三輪『…なぜ、近界民に攫われたのですか？』


米屋「おい！秀次！！」


忍田「いいよ。………今から7年前ある事件が起こった。Aが10歳の時だ。
………AはSEを持っていてね、気配感知というんだが、禍々しい気配を感知したので1人で向かって行ってしまったんだ…。そのにはトリオン兵が20体近くいたそうだ。」


三輪『…“そうだ”??』


忍田「ああ。そこには老人施設があって、その施設の方の聞き込み情報しかないんだ。
Aは避難をさせながらも全部倒した。死者0人、重傷者0人、軽傷者5人。素晴らしい結果だよ。しかし、そこに人型近界民が現れたそうだ。大方、Aのトリオン量と戦闘技術が目的だろう。人型近界民は施設の人を人質にとった。人型近界民は人質の解放の条件にAが捕虜となることを要求、Aはそれを受け入れ連れ去られた。その後、Aがいないことに気がついて追いかけて来ていた旧ボーダー隊員が到着したが、すでに手遅れで……人型近界民によってトリオン兵は破壊、回収され証拠や情報を残さなかった。だから、探しに行くことも出来なかった…」



忍田さんは辛そうに顔を歪め、拳を固く握りしめていた。



三輪、米屋、出水『「「……」」』



言葉が出なかった……
…20体ものトリオン兵を10歳の子供が避難させながら戦ったということ…
…見ず知らずの人質の代わりに自分が捕虜になると決めたこと…
想像を超える出来事に、言葉が出てこなかった…


忍田「……長い話をして悪かったな。Aには捕虜の間の話をしてもらわなくてはならないが、今は無理だろう…だからお前達にしばらく面倒を見てもらいたいんだがそれで構わないか？
……………後、彼女の笑顔を取り戻してやってくれ………………頼むぞ……」


三輪『………はい』


忍田「では、私は会議に戻る。この部屋は彼女の部屋にするつもりだから好きに使ってくれて構わない、あとの事は頼む。では」



そう言って忍田さんは部屋を出て行った。

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