7 Seiya ページ4
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”誠也くんとリオさんは違う人間なんやで”
“自分が出来んかったこと、リオさんに押し付けるのはあかんやろ”
そう言われて、何も返せなかった。
“たぶん、丈くんあたりにちゃんと相談した方がええで?”
心配そうな小島の顔が脳裏に焼き付いたまま、
車の中で待機中。
母親のことを通報したら、すぐ俺の車に乗ってこの場から立ち去る。
…そういう
あーもう。
なんやろうな。
……結局、何重にも重なって鎖の中で、
親に“認めてもらいたい”って感情にもがいてるのは、俺だけなのか。
なんて。
俺の代わりに、幸せになってもらいたい。
…って感情も、押し付けも、呪いになりうるんやって。
頭では分かってるつもりでも、
Aを前にしたら止められなくなってしまう。
コンコン
控えめなノック共に、
泣き出しそうな顔でAが現れた
A「……通報した、ちゃんと全部やった。
荷物もまとめてきたし、やれた、けど…っ、」
誠也「……どうしたん、ちゃんとやれたんやろ?」
A「また、お母さんに『産まなきゃよかった』って言われちゃった、ぁ…」
そう言って力無く笑ったあと、わぁっと泣き出したAの背をそっと撫でる。
…少し、羨ましい。
もう、俺なんて存在を否定する言葉には動じなくなってしまったもんやから。
誠也「…大丈夫やって、」
誠也「………俺が、いるやんか、」
…意地でも、
“母親は元に戻るから”、
“そんなのは本心じゃないから” なんて言ってやらない。
俺の代わりに、親に
分かっとうよ、自覚しとう。俺が歪んどることくらい。
……閉じ込められへんかな、俺の手で。母親を縋ろうとするの。
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作者名:こひな | 作成日時:2023年11月6日 0時