14 Seiya ページ11
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晶哉「Aちゃん…！？」
Aの拒んだ悲痛な声と、相手の男の子が駆け寄ってAのことを呼ぶ声で、ハッと我に返った。
目の前には、苦しそうに顔を歪めて身を守るようにしゃがみ込んだA。
晶哉「ご、ごめん、怖かったよな…？」
オロオロと駆け寄った男の子は、
背中を撫でようとして、ピタリと手を止めた。
…おおかた、触れたら余計怖がらせてしまうって考えたんやろ。
そんな考えがすぐにできる奴が悪い人間じゃないことくらい明らかやった。
やけど、見るからに“いい子ちゃん”なこの男に無性に腹が立って、
正義しかないようなまっすぐな目が怖くて堪らなかった。
誠也「…A、」
俺も近づいて、小さく名前を呼んだけど、
Aの顔は上がらないまま、荒く呼吸が繰り返されるだけ。
…あかんな、これ。
俺がいたら、治るもんも治らへん。
誠也「…お前、名前は？」
晶哉「佐野…ですけど。」
誠也「佐野、Aのこと見といてやってくれへん？
…Aに聞いたら、俺の連絡先分かると思うから。
落ち着いたら、連絡してや。」
晶哉「…は、？」
誠也「分かるやろ、俺が今Aのそばにいるべきじゃないことくらい。」
露骨に、イラッとした顔を浮かべて、佐野がこちらを見る。
…なんなんこいつ、最適解も分からへんのか。
晶哉「……Aちゃんは、あんたのこと頼ったんと違うんですか？」
誠也「何が言いたいねん。」
晶哉「あんた何かしらの事情知ってAちゃんとおるんやろ。
…あんたが伸ばした手を、あんたが振り払うんですか。」
誠也「それとこれとは訳が違うの分からんのか？」
晶哉「違わへんよ！！
あんたが目離してる間に、俺は先生や警察に言えるんやで？？
…そんな、そんな無責任なことせんといてよ！」
身長のある佐野が胸元を掴む。
ジリジリと、焼かれそうやった。
誠也「…お前に何が分かんねん。」
？？「はい、そこまで。な？落ち着こうや、お前ら。」
よく知る声が、響いた。
誠也「…丈。」
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作者名：こひな | 作成日時：2023年11月6日 0時
