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次の日、誠也くんに連れてこられたのは“弁護士事務所”
……なんか、よく分かんないけど、
誠也くんだけじゃ限界?があるから、
弁護士さんと話すことになったんだよね。
A「…はじめまして、AAです」
小島「誠也くんから話にはよお聞いてます。
エリート弁護士の小島健です」
誠也「自分で言うたらあかんやろ」
スマホと財布、それしか持ってなかったから
とりあえず誠也くんのパーカーを貸して貰ってる
自分から誠也くんの柔らかな香りがして不思議な気分だった
A「…えっと、これ。私の、あの…録画、」
小島「…虐待の証拠ってことやな」
A「…虐、待…なのかは分かんないです、けど」
小島「いま確認してもええ?」
こくり、と小さく頷くと小島さんは再生ボタンを押した
あの日のお母さんをそのまま切り取った音が流れてきて
身体全体が強張る
誠也「……小島、一回止めてくれへん?」
小島「え?…あぁ、うん。分かった」
力の入ってしまった手の上には
誠也くんの温かい手がそっと重ねられていた
気づけば、呼吸も少し早くなってた
誠也「…大丈夫か?」
A「ごめん、誠也くん…あんまり大丈夫じゃないかも、、」
ずっとずっと、真っ直ぐ自分の置かれてる現実を見つめてるようで
ずっと、私、無視してた。なにも分かってなかった。
…ただ、置かれた現実のその場にいるだけだったんだ。
受け止めたつもりになってた、だけ。
あーあ、知りたくなかった。
こんなに自分のいる環境が酷いんだって。
録画から聞こえてきてた母親の叫び声が
止めてもらったはずなのに
頭の中をぐるぐると回り続けて吐き気がした。
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作者名:こひな | 作成日時:2023年9月23日 21時