38* ページ39
・
バッと、扉の方を振り返ると、
そこには少し気まずそうな顔して、“よっ”って感じで片手をあげてこちらを伺う誠也くん。
会いたくて、堪らなくて…でも、迷惑はかけたくない。
そんな相手。
誠也「………」
A「…」
誠也くんは、丈くんに言われたとおり私の隣に座ってくれたのに、
2人して黙ってしまったまま、時間だけがすぎていく。
…どうやって、切り出そう。
助けを求めるように、丈くんの方を見たけど
“自分でなんとかしてね？”って感じで苦笑いされる。
…今日の丈くん、なんなの。意地悪だ。
店内の雰囲気に合わせたジャズが静かに流れ続けていた。
誠也「…どうやったん、学校。」
A「別に、普通…でした」
結局、話を始めてくれたのは誠也くん。
たった一晩会ってないだけなのに、気まずくなってしまって変に敬語を使ってしまう。
誠也「………家は？」
A「…っ、」
“誠也くん、助けて”
ただ、それだけを言えばいいのに
喉が張り付いたみたいに声が出てこない
本当に、頼っていいの？
やっぱり、私自分でなんとかできたりしないかな？
とか、色んな考えが一瞬で頭を駆け抜ける
嫌われたら、いやだ。そんな気持ちが心の奥にあるせい。
そんなのは分かってるけど、勇気が出ないままだった
誠也「………悪かったな、変なこと聞いて。」
誠也「…帰るわ、丈。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 582人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こひな | 作成日時：2023年9月23日 21時
