あなたの隣で眠らせて Seiya.S (ページ32)

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………お母さんの叫び声が聞こえる

ヒステリーとか、そういうの超えて意味の分かんない母音を叫んでるだけ。

逃げる場所のない散らかった部屋の隅で、
座り込んで耳を塞ぐことしかできない

こうなっちゃったお母さんはもう止められない。

小さく、小さくなって身を潜めてたとき、不意に誠也くんの言葉を思い出した

誠也“Aが身を守るためにも、なんかあったら録画か録音して欲しい”

そうだ、録画…しなきゃ。

いまだに叫び続けている母親を、必死に、動画で撮った

手は震えてカメラはブレるし、
緊張で身体は強張るし、
恐怖で呼吸は少し早くなる

……心臓だって、痛いほど早く鼓動していた。

だけど

誠也くんが“身を守るために”って言ってくれたから、

それに縋るように
カメラを回し続けることで少し安心してる自分がいる

結局、母親が錯乱して、疲れ切って気絶するまで
ずーーーっとカメラを向け続けてた

ちゃんと撮れてたかは分からないけど、…見るのが怖くて確認もできない

…そこからは、長い、長い夜の始まり。

また暴れるんじゃないかって思ったら、
怖くて自分の布団にも近づけなくて、部屋の隅で丸まったまま

座ったまま何度か目を瞑るけど、
緊張したままの身体と頭じゃ全然眠れそうになかった

寂しくって、苦しくて、
近くに、血の繋がった家族がいる。
なのに、…抱きしめて優しくなんてしてもらえる訳もない。

どうしようも無くて、そっと自分の体を抱きしめた

なーんにも紛れなくて、虚しさが広がっただけ、

…隣に、誠也くんがいてくれたらいいのに。

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誠也くんに、会いたい。