あなたの隣で眠らせて Seiya.S (ページ21)

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20* Seiya ページ21

Side 誠也

小島「いまさら、誠也くんに言う事じゃないけど、
ほんま厄介な犯罪だけは起こさんといて下さいよ

小さい犯罪なら上手いこと言いくるめるし、多少のことなら揉み消せるけどな…一般人巻き込んだら手に負えないんで」

誠也「言うとることが物騒やぞ」

小島「…………末澤家がしとることの方がよっぽど物騒やろ」

小島の方を睨むと、文句ありげに口を開いたあと何も言わずに目を逸らした。

…せやろな、俺が親父のこと嫌いなの知っとうから。
余計なこと言わん方が賢明やと思うで。

・

自分でもAを気にかけてしまう理由はよく分からん。

まだ、Aのことなんも知らんし。

強いてあげるなら、

“自分と似ていたから”。

おぼこさの残る頃から、家を空けてばかりやった親父の気まぐれで殴られたり、放置されてきたり…

……たまに、存在しないものとして扱われた俺は、いつしか親の顔を伺うのが癖になっとった。

爺さんが基盤を築いて、親父が一代で成り上がらせた“組”のことは純粋にすごいと思っとう

複雑に勢力図が入り組んでいて、変化し続けるこの街でそんなんができるなんて人間の芸当じゃない

…親父は人間やなくなってもうたんかな、

表向きな面を厚く、厚くする度に失っていった人間性の
歪んだ部分全て受け止めてるのが俺やった

…一代で成り上がるには部下や仲間からの信頼が必須やったから、俺以外に当たり散らすとこは見たことがない

“賢い”親父は流れる血がどのくらい人間を縛り付けるか分かっとったやろし。

…見切られたのか、なにかを見出しているのか何も分からん

けど、“表に見せられる”ような不動産と、丈の店ら飲食店を与えられて、身動きが取れないまま入ってくるお金と、知識で、惰性で生きてきた。

それは、“裏側に関わってくるな”という警告なのか、

俺に任せていいと考えたのか、

………役に立たない俺を縛りつけたまま、飼い殺すためなのか。

・

　

そんな血に呪われた自分と、

どこか同じ雰囲気をAに感じとったんよ。
ただ、それだけ。

______それだけで嫌と言うほど、Aから目が離せなくなっとった。

…Aには、年相応に笑って欲しい

安心できる場所で生きて欲しい

俺はもう、取り戻すことのできないところまで来てしまったから。

・

Aを気にかけるのは、俺が無駄にした人生の罪滅ぼしかもしれんな。