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A「…身分証とか、は、忘れた。ていうか、別に私がなにしようが関係なくない？」
誠也「はぁ…」
丈「末澤、怒りすぎ。
…Aちゃんにどんな事情があるかは俺らには分からんけど、この街は危ないんよ。末澤はそれを心配しとるだけやから、警察に連れてこうとは思ってない。
けどな、末澤の言う通り子供が来るところじゃない」
…精一杯の虚勢ですら、優しく嗜められて、2人から詰められてる。今すぐ逃げ出したかったけれど、飲み過ぎて睡眠不足な私は走り出すような力も残ってない。
誠也「大事なのはそこちゃうやろ…別にこいつのこと心配してるわけちゃうわ。
…子供が出歩いて良い時間じゃないし、子供には酒提供できひん。丈が怒られるんよ、警察にな。
ま、とっくに子供1人で出て良い時間過ぎとうし、警察に店にいるのが見つかったら厳重注意で済めば良い方やわ、下手すりゃ営業できんくなる。」
丈「困るのは末澤もやろ」
誠也「………余計なこと言っとる場合とちゃうぞ」
自分がしでかしてしまったことの重さにやっと気づいて、押し黙っていることしかできなかった。
今は午前4時少し前、
…今から帰ったら学校には間に合うだろうけど、もう2日以上寝てない私には行ける気がしない。
かと言って、学校休んだところで不安定な母親と一緒に居ては体は全く休まらない。
A「…本当にごめんなさい。反省してます。もう、来ないので、どうか警察には黙っててください。
困るんです、…生きていけなくなっちゃうから。」
ネカフェでも、公園でもどこでも良い、今はとにかく寝させてほしかった
なんて、回らない頭でそんなことを考えた
あ、まだ18歳になってないからネカフェも無理か。
まだまだふらつくけれど立ち上がって、頭を下げる。
A「もう出るんで、許してください。
……寝させてもらっただけだけど、助かりました。本当にありがとうございました。」
誠也「………お前、行く当てあるん」
A「ない…です、」
チッ、と大きな舌打ちが私たち3人しか居ない店内に響いた
誠也「丈、裏で休ませるんは？」
丈「…無理やで、締め前に親父さんが見にくるからバレるわ
なぁ、末澤。自分、『興味ないですぅ』感、出す割には世話やくんやね
素直にお前んち、連れてったりぃや」
今度は大きなため息を、ひとつ溢した末澤さん
誠也「…ほんっっま、おまえ………ったく……今日だけやで」
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作者名：こひな | 作成日時：2023年9月23日 21時
