8.幸せにする人k.n ページ8
和也side
A｢この前紹介してくれた櫻井翔さんと付き合うことになりました。｣
そう、報告を受けたのはいつの事だったか。
Aは嬉しそうに笑った。
きっと君を幸せにするのは俺じゃないって何となく思っていた。
感覚は“お兄ちゃん”のよう。
相談に乗って、愚痴を聞いて、
一緒に泣いて、笑って、
でもそれはコイビト同士じゃなくて、
ドウキとか、トモダチとか、ソウダンアイテ。
ずっとそれでいいと思っていた。
大学の頃からの知り合いの翔ちゃん。
真面目で、いい男だからきっと君を幸せにするなんて思って紹介した。
でも、それは遂げられなかった。
なにがあったか、俺は知らない。
君が言ってくれるまでは聞かない。
だけど、翔ちゃんがAを幸せにできなかったことは事実。
多分、Aに翔ちゃんはいい男すぎた。
“仕事が出来る男と付き合うことは即ち、
女性の幸せとは限らない。”
そう、どこかの雑誌の特集で書いたような気がする。
智｢にの、しかめっ面になってる。Aちゃんの事で悩むのもいいけど、自分の気持ちもちゃんと聞いてあげないと疲れちゃうよ？｣
和也｢何言ってるんですか、おーのさん。
俺はただ、Aの幸せを願ってるんです。｣
智｢どうしてそうやって自分をその幸せにしてあげる人から外そうとするの。そんなに幸せになって欲しかったら、
にのが幸せにしてあげればいいじゃん。｣
和也｢...そうですね。｣
おーのさんの言うことに何か自分の心の中にあった小さな鎖が外れた。
やっぱり、Aの幸せを願うんじゃなくて、
俺が幸せにしてもいいですか？
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作者名：さーちゃん | 作成日時：2017年12月18日 23時
