貴女のいないその未来は (ページ28)

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28.男のカンページ28

Aside

和也｢...翔ちゃん、元気そうだった？｣

A｢えっ...？｣

和也が何を言っているのか頭はまるで整理できなくて、ぽかんとするばかりだった。

鼓動の音が早くなるのを感じた。

目も泳いでいただろうし、

“焦る”とはまさにこのことだと思った。

和也｢店先で翔ちゃんに会わなかった？｣

A｢会った...会ったよ｣

もう逃れられないと思った。
嘘をつく意味が無いと感じた。

和也は怒るだろうか、嫉妬でもするだろうか、

そう思ったのに。

和也はぎゅっと私を抱きしめた。

温かかった。安心した。

でも震えていた。

和也｢今まで一緒にいてくれてありがとう。｣

A｢ちょっと待って...和也。私まだ何とも...｣

和也｢翔ちゃんはまだ好きだよって言ってくれたでしょ？｣

A｢なんで...｣

和也｢わかるんだよ、女のカンってあるみたいに男のカンってものもあってさ、きっと、Aは告白されただろうなーって。

Aには翔ちゃんが一番だよ。

翔ちゃんならきっと今度こそ、Aを幸せにしてくれる。｣

A｢ごめんね、和也。私和也のこと傷つけてばっかだ...｣

和也｢俺は、Aに助けられたことはあっても傷つけられたことなんて一度もないよ。

これ、翔ちゃんの今日泊まってるホテル。

ほら、行っておいで。｣

そうやって私をそっと離した。

そうして私は思い出した。

和也はいつも私が落ち込んでいる時に背中を押してくれた。

私は涙を拭いながら道を走った。