貴女のいないその未来は (ページ26)

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26.忘れられないページ26

Aside

どこかにあったドラマのように風で髪がなびいて、

私と貴方を隔てるこの道路がまた貴方を愛おしくさせた。

その距離は心の距離よりよっぽど離れていたのかもしれない。

暫くその質問に答えることは出来なかった。

この質問が来ることが分かっていたのにそれでもやっぱり身体が驚いてついて行かなかった。

A｢...ごめん。やっぱり、それは出来ない。｣

“静寂”
そういう時間が流れていった。

翔｢そうだよね...ごめん。

大切にしてあげられなかったのは俺だし、

Aから出ていったけどその原因だって俺だし、

きっとそんなこと言う資格...ないんだよね。

でも、これだけは言わせて？

俺は、何年経ってもずっとAの幸せを願ってる。

もし、Aが俺のこと嫌いでも、俺はずっと、Aが好きだよ。

この気持ちは一生変わらないから。｣

A｢嫌い...なわけないじゃん......｣

そう、小さく呟いたけど、それは強い風に掻き消されて全部泡になって消えていった。

A｢今日はもう行くね。ごめん...｣

こんな言葉だけを風は運んだ。

分かってる。自分でも。
ホントは好きだよって、言いたいだけなんだ。

また、気がついてしまった、知ってしまった。

翔くんの事をいつまでも忘れられなかったのは私が翔くんが好きだから。

そんな気持ちに正直になりたかった。

でも、なれなかった。

それも和也への、罪悪感だと勝手に言い訳した。

ホントはそんなことないのに。

どんなに歩いてもさっきの言葉が忘れられなくて、忘れられなくて、

気がついたら、

涙が零れていた。