貴女のいないその未来は (ページ3)

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3.冷たい冬ページ3

Aside

A｢おはようございま〜す。｣

智｢あ、Aちゃん。おはよう。｣

このみんなより少し大きなデスクに座るのは大野編集長。

いい椅子に座ってもその姿からは威張ったような姿勢は全く感じられない。

本当にいい意味で、接しやすい人。

智｢あれ、Aちゃん、クマできてる。大丈夫かー？ちゃんと寝た？｣

A｢ホントですか。大丈夫です。｣

一生懸命、お化粧をして隠したはずのクマも大野さんにはバレている。

昨日、翔くんの隣にいながら夜中考えた。

何度も何度も自分に幸せかと問いかけた。

結局、昨日のうちに答えが出ることはなく、

今日の朝を迎えた。

翔くんは今日の朝も私が起きる頃にはいなかった。

同棲しているのにも関わらずお互いの顔を見るのは1日にほんの数分。

翔｢ごめんね、A。今から忙しい時期が続くからあんまり一緒にいられないかも。

またそれが過ぎたらどこかふたりで行こう？｣

一ヶ月前、翔くんはそう言った。

年末はどこもかしこも慌ただしく動く。

その中でも重役を任せられた翔くんはとりわけ忙しい。

付き合い始めた２年前からそんなことは分かっていたのに。

今年の冬は一段と私に冷たく吹き荒れる。