貴女のいないその未来は (ページ20)

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20.僕の心s.s ページ20

翔side

季節は過ぎ行き、
恋人達の寄り添う冬の二つ目のイベント、

バレンタインデーが近づく二月の初旬。

Aと出会う前は興味もない女子から大量の甘い塊を渡されるイベントだと思っていて、

それはただただ憂鬱で、

でもちょっとは金になる、そんな日だった。

ブランド物はその日のうちに売りに出した。

でも、Aに出会ってからは

Aの笑顔も美味しいチョコレートも貰えるなんて最高の日。

こんな日が増えたらいいななんて心の中でずっと思っていた。

俺が不器用なせいで一度も伝えることは無かったけど、

俺はAの笑顔を見ている時が、
一番幸せだった。

そして、Aがいなくなった今年のバレンタインデー。

どんな日になるかなんて想像もしたくない。

最近になって分かったことがある。

それは、生活の質が落ちたこと。

自分でもわかるのだから相当だと思う。

散らばった洗濯物。

無造作に置かれたシンクの食器。

しわくちゃなワイシャツ。

花瓶の枯れた花。

そして、最近痩せた俺、

美味しくもないひとりでのコンビニ食が辛くて最近はろくに食べないことが多くなった。

職場の同僚には働きすぎかと心配された。

今更になって、暗闇を知って、

それから

君の偉大さを、君が俺の心を占める割合を、

やっと知ることが出来た。

窓の外から偶然見えた流星に、

『もう1度Aに会いたい』

そう、お願いした。