貴女のいないその未来は (ページ17)

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17.愛しい気持ちk.n ページ17

和也side

こんなにもAに惹かれていた自分がいる。

それは事実。

なのに翔ちゃんに“恋人”という一番の特等席を譲った理由。

それは、俺の過去にある。

大学時代に付き合っていた彼女。

名前は瑠璃といった。

その時、愛しくて仕方がなかった彼女は、

今では憎たらしい。

俺は最近までコイツから金銭の要求をされていた。

それはまぁ、借金取りのように。

逃げればよかったという人がいると思う。
８割がたの人はみんなそう言う。

ただ、そう言う奴の99.9%はきっとあいつから逃げられない。

そんな過去はどうだっていい。
別に俺がお金を払うだけ。

そう思っていたけど、

Aに迷惑はかけられないと、

なにより、Aの幸せを願っているのはこの俺。

それが原因でもしかしたら彼女を傷つけるかもしれない。

そうやって、それを理由にして、

Aと向き合うことから逃げてきた。

翔ちゃんにAの人生を託して、

それを隣からそっと見守ってた。

それぐらいの男だと俺は思ってた。

でも、違ったんでしょ。
翔ちゃんは幸せに出来なかったんでしょ。

だったら...

そんな風にやっと決心がついた。