15.腐れ縁 ページ15
Aside
和也と“腐れ縁”の仲を解消して、
“恋人”となってからもう1週間。
翔くんの家に住んでいたことを知っていた和也は
私がホテルで暮らしているのを知って自分の家に招待した。
今では新婚の奥さんかのように毎日彼と私のご飯を作り、
一緒に家を出て同じ電車で同じ職場に向かう。
｢おはよう｣
｢いただきます｣
｢行ってきます｣
｢おかえり｣
｢ただいま｣
｢ごちそうさまでした｣
｢おやすみ｣
全てが、生活の全てが
和也と一緒。
きっと職場で気がついた人も何人もいた。
女子社員にはイケメンの和也と付き合ったせいで
｢彼氏と別れたばっかなのに。｣
｢二宮くんと一緒にいるなんてありえない。｣
そんな悪口も言われたりしたけどそんなことは関係ない。
毎日、和也が隣で笑っていてくれるのが幸せだった。
幸せとはこういう事なのではないかと思った。
和也と付き合い出してから不思議と
翔くんの話を聞いたり、
道でばったり会うことも、なくなり
翔くんのことを思い出すことも少なくなった。
それでも、
和也がなにかする時、
重ね合わせるのはまだ貴方。
翔くんならこうしたかな、
翔くんならこう言ったかな、
そんなことばかり。
和也に失礼なのは十分承知。
。
それでも心の中にそれがあるのは、
きっと私がまだ貴方以上の人に出会っていない証拠だった。
本当の腐れ縁は貴方かもしれないと思った。
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作者名：さーちゃん | 作成日時：2017年12月18日 23時
