彼の寝顔 ページ19
***
次の日ーーー。
私は、朝早くに目が覚めてしまったため、喉を潤そうと下の階に降りてきた。
階段を降りると、まだ薄暗い廊下に一筋の淡い光が差し込んでいるのが見えた。
それは少し開いたドアの先から見える光だったので、誰か起きているのかと思い覗いてみる。
もしイズミさんなら、お水を貰うことの了承も得たい。
そう思いながらドアをノックしてみる。
アル「…だれ?」
その部屋に居たのはアルで、どうやらここは書斎のようだ。
『おはよう、アル。イズミさんかなと思って見に来ちゃった…』
アル「おはよう、A。みんなはまだ寝てるよ?」
どうかした?と問いかけるアルの周りには、既に読み終えたと思われるほんが山積みになっていた。
そうだ、アルは寝ることが出来ないと言っていた。
1人の夜を、こうして本を読んで過ごしていたのかと思うと、やるせなくなった。
『目が覚めちゃって、喉が渇いたから…』
アル「そっか、みんな寝てるし、勝手に飲んでも大丈夫だと思うよ。」
『うん、わかった。』
私ら1度水を飲みに行くため、その場を離れた。
キッチンに向かうためリビングに入ると、月明かりのおかげでかろうじて足元が確認できる事にほっとする。
リビングのあのソファーには、多分エドが寝ているだろうと思い、静かにキッチンに向かう。
ここでお世話になるなら、色々と買い揃えるものがあると改めて思う。
コップもそのひとつだ。
その場で使えそうなものがわからないので、蛇口をひねり手で水をすくって口に運ぶ。
水分補給を済ませた私は、物音を立てないよう気をつけながらリビングを通り過ぎようとした
その時
エド「…んー…。」
ソファーの方から、エドの声が聞こえた。
どうしたのだろうと思い、ソファーを覗き込んでみると、お腹を出しながらエドが寝ていたのだ。
『風邪ひくよ』
エド「ん…」
半分落ちているタオルを手繰り寄せ、かけ直してあげると、もそもそとタオルに顔を埋めるエド。
こんな可愛い所もあるんだなぁなんて思いながら、じっと寝顔を眺めてみる。
整った顔立ち、すっとした鼻に、薄いくちびる。
あんまり眺めすぎるのも私の心臓によろしくないので、また忍び足でその場を離れると、リビングを出た。
エド「…な、んなんだよ、アイツ…」
頬を赤らめた彼の小言を置き去りにして。
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柏餅(プロフ) - 神すぎますゥゥゥ! (3月21日 16時) (レス) @page28 id: 55951e8f98 (このIDを非表示/違反報告)
夜宵(プロフ) - みーさん» あっあっ…コメントありがとうございます…っ!みー様のお命、救われたのなら私はとても嬉しいです…。もっと沢山の方を救えるよう精進致します(?) (2022年3月17日 21時) (レス) id: d7d7e6bb61 (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - あっあっあっ、ハガレンの夢小説ものっそい少ないので助かります・・・再熱してたので命が救われました・・・ありがとうございますありがとうございます!!! (2022年3月16日 22時) (レス) id: 9c701de065 (このIDを非表示/違反報告)
夜宵(プロフ) - レイさん» 暖かいお言葉、本当にありがとうございます…!私の文章をそんなにお褒めいただけると思わず、むしろ毎回投稿前に悩むくらいでした。レイさんのコメントで、やる気がもう200倍くらい出てきたので、これからも頑張りますぅぅうう!!! (2022年3月1日 23時) (レス) id: bc8ff92a4c (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 毎回の話がおもしろいし、文章も私とは天と地の差があって、最初の方から見ていたのですが、初めて見たとき、そして今でも話が更新されるごとにびっくりしています。いつも最高の文章を書いていただきありがとうございます! (2022年3月1日 21時) (レス) id: 16d4726e1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:YayoiSakura | 作成日時:2022年2月17日 14時