イタズラな笑み ページ17
***
その後、エドは一向に離してくれそうにない。
ただ静寂が部屋に張り詰めて、私のうるさい心臓の音が彼に聞こえないか不安になった。
相変わらず顔は赤いままだし、多分耳まで真っ赤っか。
それでも心地よい彼の腕の中で、時が止まればいいのに、とさえ思っている。
ずっとこのまま、エドと一緒に居れればいいのに…。
でも私は弱いから、もっと強くならないと2人と肩を並べて歩く事はできない。
だから、必ず強くなってみせようと、心で強く誓った。
その時、エドが小さな声で「ごめんな」と言った。
『なんで謝るの…?』
相変わらず抱きしめられたままで、問いかける。
エド「…あの日から、お前災難だろ。
オレが巻き込んじまった、あの日から…」
私を賢者の石の件に巻き込んでしまったことを、彼はまだ後悔しているらしい。
私が弱いせいで、彼を苦しめているのかと思うとなんともやるせない気持ちになる。
『こちらこそごめんね。最後まで知りたがったのは私なのに…。
弱いせいで、エドたちと一緒に解決する事ができなくて、本当に申し訳ないと思ってる。
だから、私絶対強くなる!
強くなって、エドたちと一緒に行動できるように頑張るね!』
エド「…はは、お前ってほんと…」
そこでようやく身体を離したエドと、ばちっと目が合った。
目が合うのと同時に、全神経が緊張したのがわかる。
彼の派手な金目が、私を捉えている。
私もまた、彼の目から視線を外せずにいた。
どのくらいたったか、しばらくすると、エドはふっと笑った。
エド「…お前って、ほんと俺の想像の斜め上を行きやがる。」
『それは、誉め言葉?』
エド「あぁ、そうだよ。」
そしてまた、笑うエド。
エド「俺、下で寝るわ。師匠に言えばまぁ…なんとか…」
『え、大丈夫なの?』
師匠の話になると、この人は本当に顔色が悪くなる。
すたすたと入口へと向かうエド。
エド「まぁ大丈夫だろ。それに…」
『…?』
ドアノブに手をかけて、振り向いたエドはじっと私を見ては真顔で
エド「お前に手ぇ出しそうだから」
『…はっ!?』
エド「って言えば大丈夫だろ。」
私が顔を真っ赤にさせたのを見ると、ニヤニヤと笑いながら言っては出ていったエド。
…やられた…やられたあぁぁ!!!
私は悔しくてベッドに倒れ込む。
まだ当分は眠れそうにない夜に、私はベッドの上で悶えるのだった。
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柏餅(プロフ) - 神すぎますゥゥゥ! (3月21日 16時) (レス) @page28 id: 55951e8f98 (このIDを非表示/違反報告)
夜宵(プロフ) - みーさん» あっあっ…コメントありがとうございます…っ!みー様のお命、救われたのなら私はとても嬉しいです…。もっと沢山の方を救えるよう精進致します(?) (2022年3月17日 21時) (レス) id: d7d7e6bb61 (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - あっあっあっ、ハガレンの夢小説ものっそい少ないので助かります・・・再熱してたので命が救われました・・・ありがとうございますありがとうございます!!! (2022年3月16日 22時) (レス) id: 9c701de065 (このIDを非表示/違反報告)
夜宵(プロフ) - レイさん» 暖かいお言葉、本当にありがとうございます…!私の文章をそんなにお褒めいただけると思わず、むしろ毎回投稿前に悩むくらいでした。レイさんのコメントで、やる気がもう200倍くらい出てきたので、これからも頑張りますぅぅうう!!! (2022年3月1日 23時) (レス) id: bc8ff92a4c (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 毎回の話がおもしろいし、文章も私とは天と地の差があって、最初の方から見ていたのですが、初めて見たとき、そして今でも話が更新されるごとにびっくりしています。いつも最高の文章を書いていただきありがとうございます! (2022年3月1日 21時) (レス) id: 16d4726e1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:YayoiSakura | 作成日時:2022年2月17日 14時