罪を侵して人を愛せず【鋼錬】 (ページ11)

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不遇に見舞われてページ11

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辺りを見渡すと、解読に使ったであろうメモと、本が散乱した部屋で解読をはじめてはや4時間。

私はというと、エドワードさんから渡された料理研究書を一通り読み終え、気になる点をしらみつぶしに調べていた。

エド｢どうだ、なんか掴めたか？｣

本棚の前で、関連する辞書を探しているとエドワードさんに声をかけられた。

『今は、この献立の表記がちょっと気になったので…元素記号を並べて…』

今思いついた事を簡潔にエドワードさんに説明する。

説明している間、なんだかエドワードさんの顔が近い。

多分彼は、錬金術の事になると周りが見えなくなるタイプの人なんだろう。

他意はないとわかっていても、ちょっと意識してしまう…。

エド｢その考えは俺たちには無かったな…その辞書なら｢うわぁ！！｣…っ？｣

エドワードさんが別の本棚へ向かった瞬間、アルフォンスさんの声と共に、鎧のぶつかる音が聞こえた。

『へっ……』

目の前が陰り、異変に気が付き見上げると、本棚が私の方へと倒れてこようとしていた。

エド｢危ねェッ！！！！！｣

来るであろう衝撃に思わず目を瞑り、身構える。

だが、本が落ちる音が周りに響くばかりで、痛みは全くなかった。

それよりも、誰かに支えられている気がした。

エド｢〜〜ッアルフォンス〜！！！！｣

アル｢ごっ、ごめん兄さん！足がもつれちゃって！

Aさんは！？大丈夫？｣

『だっ、大丈夫です…』

私はというと、エドワードさんの身体を盾にする形で抱き抱えられていた。

本棚は、彼が右腕でこれ以上倒れないように支えていた。

エド｢ったく、気をつけろよなー…｣

アル｢うん、ごめん。｣

アルフォンスさんが本棚を直す。

『あっ、あの、エドワードさんは大丈夫ですか？』

私を庇った事で少なからず、本に襲われたはず。

本棚だって、生身で受け止めてるし、怪我をしていないか心配だ。

エド｢まぁ本は痛かったが、…右腕はこれだから大丈夫だぜ。｣

『…っ、よかった…』

エド｢……｣

ホッと一安心していると、エドワードさんに抱き上げられ、そのまま立たせてもらった。

エド｢ちょっと外の空気吸ってくる！！｣

彼はそのまま、そそくさと部屋の外に出ていってしまった。

アル・A『｢？？？｣』

その場に残された2人で首を傾げると、仕方がないので2人で片付けをすることにした。

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