罪を侵して人を愛せず【鋼錬】 (ページ2)

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夢ページ2

私は、生まれついて物心が着いた頃からこの髪の色のせいでいい思いをしたことがない。

青みがかった白髪。周りと違うというだけで、幼少から虐められてきた。

幸い、父と母は私を可愛がってくれたし、学校を強制することはなかった為、すぐに学校には行かなくてよくなった。

必要な勉学は、全て両親が教えてくれた。

父は国家錬金術師で、日々研究に明け暮れていた。

父の部屋はインクと古い本の匂い。

何をしても叱らない父の部屋で、私は大好きな匂いの中で、父の本を読んでは錬成陣を再現したりしていた。

母は本当に優しくて、ころころとよく笑う可愛い人だった。

料理も上手で、父の事が大好きで、でもたまに何かを忘れたりして…私もそんな母が大好きだった。

だから、自然だった。

亡くなった母を錬成しようとすることは。

父は日に日に弱っていき、趣味の研究も手につかず国家錬金術師の名を剥奪された。

今までも、錬金術において天才だと言われた私が、人体錬成陣を完成させたあの日、偶然目にした父と共になんの躊躇いもなく、実行した。

もう一度、会いたくて
あの笑顔に、声に、あの人に。

しかし、父は内蔵と右足を、私も内蔵を持っていかれ錬成されたそれは、無情にも人の形をしていなかった。

どうして。なんで。錬成陣は完璧だったはず。

発しようとした言葉は出ず、吐き出したのは血。

そして理解した。私はこれから死ぬのだと。

薄れゆく意識の中、最後に見たのは泣き溺れる父の姿。

もう死ぬのに、ハッキリと聞こえる父の声

何を言っているの？私もパパも、もう死んじゃうのよ…神様に祈ったって…もう…叶わないのに…

次の日、血の惨状に倒れた父と、無傷の私が隣人に発見された。

父は助からなかった。

生き残った私を、周りはやはり気味悪がった。

私には、わかっていた。全てが。この惨劇の真実が。

母はなぜ生き返らなかったのか。
なぜ私は助かったのか。
父は何を失ったのか…。

これは私の、遠い昔の、昨日のような過去