あなたの瞳が (ページ6)

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６・バンドページ6

貴司を好きになったのは、学園祭のステージだった。

うちの高校は後夜祭がメインと言ってもいいくらいで。
校内オーディションで選ばれたバンドが、校庭に造られたステージで演奏する。

まるで本当の対バンみたいに、それぞれにファンがいて。
盛り上がるのが伝統のようだった。

2年の夏。
憧れていた1つ上の先輩がオーディションに受かったらしいと聞いて、飛んで来た親友の芽依。

『練習見に行きたい！(人1)付き合って！』

何度か練習にも付き合ったけれど、芽依の好きな先輩も先輩のバンドも、かなりの人気で。

差し入れを渡す全ての女の子に
『ありがとう』
とキラキラの笑顔を向ける先輩たちを、正直好きにはなれないや…と思った。

後夜祭。
ライブが始まる。

芽依とお揃いのＴシャツを着せられた私…
何とも気恥ずかしい。

学園祭２日前に芽依が
『見て見てー作っちゃった！(人1)のもあるんだよ！』
と、スパンコールで先輩のバンド名を刺繍したＴシャツを持ってきた。

『なんで!?私も着るの!?』
恥ずかしいから嫌だ！ファンじゃないのに！と抵抗する私に手を合わせ
『１人じゃ目立たないんだもん～他にも沢山ファンがいるんだよ…せっかく作ったんだよ～お願い…』

涙目で頼む芽依には弱いんだよ…

センター３列目という場所を確保し、胸元に輝くバンド名入りのＴシャツ。
こんなの大ファンじゃん…

居たたまれない気持ちで周りをうかがう。
あれ？さっきは気づかなかったけど、同じようにＴシャツを着たり、手作りらしいタオルを掛けた子がいっぱい。

これなら目立たないかも…少しホッとする。

『先輩のバンドやっぱり人気だよね～もっと目立っようにすれば良かった！』

悔しそうな芽依の言葉を聞いて、Ｔシャツだけで済んだ事に心底感謝した。

1組目が終わり、先輩たちのバンドが登場した。