理解者13 ページ46
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『志保、頼むよ...』
そう絞り出した小さい声は震えていた。
1ミリたりとも動かない志保の肩に精一杯手を伸ばし、優しく掴んだ。
頬に何か冷たいものが通った気がする。
殴られて出血した血?...いや、涙だ。
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志保「Aは十分私を命懸けで守ってくれた。私は親友の決断に委ねるわ」
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まるで死ぬ時は一緒だ、と言っているような言葉に私の胸は震えた。
親友...志保も私の事をそう思っていてくれたんだ。
ああ、幸せだなぁと心の中で呑気にそう考えた。数分後に死ぬかもしれないのに。でも親友と心が通じ合うことがこんなにも幸せに思えるなんて、今まで知らなかった。
志保「...Aの好きな方を切りなさい」
『ありがとう』
私は自分の仕事を全うしよう。
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青は...空、海、そういや新一やれいにぃの目も青。
赤は......
私は一人しか頭に浮かばなかった。
私は相当彼の事が好きらしい
私を理解してくれる人
私の大好きな人
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赤井「全てが解決してから聞いて欲しい事がある」
『...私も』
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あの時...
秀一が言いたいことは何となく分かった。
それに対して私の答えは...
兄貴。
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私に好きな人がいるなんて言ったら、兄貴はどんな反応をするのかな?
私の事が大好きな兄貴のことだから、秀一を問い詰めて私に相応しいかどうか判断するに違いない...それか問答無用で別れろって言うのかな??
私は兄貴が亡くなったと聞いた日から、兄貴の為に復讐をしようと決めた。
...けど、それは間違っていたのだと思う。
兄貴は私に復讐をさせるために命を落としたんじゃない。
くだらない警察組織の上層部に利用されて...兄貴が報われるような生き方をしていない。
だから、上矢はなるべく殺したくは無かった。
これで終わりたい、終わらせたい。
これで最後。
これが私の区切りだ。
『……よし、』
志保「...?」
決めた。
私は好きな方を選ぶ。
複雑な理由なんていらない。
人に指図されたりなんてしない。
誰にも縛られない。
好きなように選び、好きなように生きる。
その中で見つけた大切な人達を、守り守られ、大切にして生きる。
それが私だ。
残り10秒
私は赤色のコードに刃を掛けた。
志保「決めたのね」
『うん』
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ごくんと唾を飲み込んだ。
残り8秒、7、6、5、4、3...
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『なんてね、青だァ!!』
私は青い方を思いっきり切った。
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第32章 「理解者」 完
次回最終章
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トロ丸くん(プロフ) - 初コメ失礼します。凄く面白くて大好きです!ただ、理解者2から3にかけてがおかしくなっているので修正したほうがいいと思います。更新楽しみにしています! (2020年4月11日 9時) (レス) id: 1357d0851f (このIDを非表示/違反報告)
ぱる(プロフ) - めちゃくちゃおもしろいです!番外編とかでもっとジンとの絡みが見たいなぁと思ってますw更新頑張ってください! (2020年4月10日 15時) (レス) id: 51ee7cd96d (このIDを非表示/違反報告)
イアデビル(プロフ) - 面白いです最新待ってます頑張ってください (2020年4月2日 0時) (レス) id: ef5404f845 (このIDを非表示/違反報告)
斉藤さん - 続編おめでとうございます!待ってました!!今度はジンのターンですね( -ω- `)フッジン好きの私にはニヤけが止まりませんw (2020年3月20日 23時) (レス) id: 4ec1a4318b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:235711 | 作成日時:2020年3月15日 19時