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馬鹿者17 ページ25

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『自分の命を後回しにしないでよ...
君の正義は時々見ていて怖くなる。
君は...死んで誰かを泣かせてまでして、その正義を突き通さないといけなかったの?』
 

その言葉に言い返したいことはあった。
だが、そこまで言われて返す言葉はない。
 

一番最初に思い浮かんだのは、蘭だった。
俺は蘭をあんなにも待たせているのに、これで俺が死んでしまったら、それこそ本当の裏切りになるのではないか?

他にも俺をいつも心配してくれる大事な人の泣き顔が頭に浮かび上がり、何も言えなくなった。
 


『新一...』


Aは俺の腕に触れた。
今度はつまんだりはせず、ハンカチを出して俺の怪我している部分に巻いてくれる。
それでも今度はまっすぐ瞳は俺を見ていた。


Aは泣きそうな顔をしていた。
こんな表情のAは初めて見た。

 
『正義を持つことは確かに大事だよ?
誰だって生きる上で自分の持つ正義はある。
私にだってある。なかったらただの人形に成り下がってしまうもんね。』


そう言って微笑んだAは純粋に綺麗だと思った。
よく見たらボロボロで頬には傷があり、所々血で滲んでいるところがあるのに、なぜか純粋にそう思えた。


『でも...それは生きているからそうやって言えるものでしょ?
死んだ後じゃあ、その命を懸けて守り抜いた正義は君を慕う遺った人々を悲しませるものになるだけ...』


叱りながらも、俺の正義を肯定してくれる。
それに対して俺はただAの今まで見たことのない表情を見入ってしまって何も口が開かない。
 
 
『ごめんね、私だけ言いたいこと言っちゃって。君だけではないのに』


“君だけではないのに”
その言葉を発したAはふと救急車を見た。
俺も追うように目を向ける。
目の先は、キュラソーが運び込まれた救急車だった。

Aは俺とキュラソーを重ねていたのだろうか?観覧車を止めるために自分を犠牲にした彼女を。
だが、Aの目はそれよりももっと先の“誰か”
を見ているように感じた。

Aは数秒見つめた後、潤んでいた涙を指で拭い、いつもの笑顔に戻る。



『それと、貴方もだよ!、、、秀一。』


ビシッと指を林に向けるA。
そこには赤井さんが隠れている。
Aは気づいていたのか、、、

それに赤井さんは周りに公安がいるからか、何も反応しない。



『子供にこんなことやらせない!!
君たち大人でちゃんと解決しなさい!!』

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設定タグ:名探偵コナン , 赤井秀一 , 降谷零   
作品ジャンル:アニメ
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よる - イッキ見しましたー!2日かかった…(読むのが遅いだけ)面白かったです!更新待ってまーす!笑 (2020年3月14日 15時) (レス) id: c5f0e73031 (このIDを非表示/違反報告)
あやね - 更新まだですか?待ってます!! (2020年2月13日 0時) (レス) id: 4ec1a4318b (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続きが楽しみです。よろしくお願いします。 (2020年1月21日 23時) (レス) id: bae193555e (このIDを非表示/違反報告)
あやね - 更新まだですか.....? (2020年1月12日 23時) (レス) id: 4ec1a4318b (このIDを非表示/違反報告)
- めちゃくちゃ面白かったです!個人的にルパン達との絡みを増やしもらったら嬉しいな、と。これからも頑張ってください! (2019年12月22日 20時) (レス) id: 0dd927e5ca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:235711 | 作成日時:2019年10月13日 21時

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