第34話 特権 ページ36
｢なんだ、そんなことだったのか｣
ス｢…そんなこと、じゃねぇ｣
＿＿誤解も解け、スバルの部屋でくつろいでる。
どうやら私は勘違いをしていたのだ。
スバルは“そんな物”を隠していたのではなく(元から持っていなかったららしいが)、｢無理矢理着せられたコスプレを見られたくなかったんだ｣と言った。
で、その見られたくなかったというコスプレというのが、
｢ミイラか｣
ス｢……ﾁｯ｣
｢着せられたって言うより巻かれた、だな｣
ス｢うるせぇよッ｣
白い包帯を頭や顔、首に巻きつけてミイラを表現している。
体にも服の上から軽く巻いてある。
完全に巻きつけるのは嫌なのか、髪の毛や顔が出ている部分が多い。
……スバルにコスプレをさせただけいいか。
｢似合ってる｣
ス｢っ…｣
｢？顔が赤い…｣
ス｢こっち見んなッ｣
｢ははっ｣
いつも無愛想で素っ気ないスバル。
眼を鋭くして、兄弟達やユイの前では決して表情を緩めることはないスバル。
この照れて赤くなった顔を見るのは、姉の私だけの特権である。
私は無惨に破かれたカーテンをそっと撫でながら、過去に見たスバルの照れたり焦ったり怒ったりする豊かな表情を思い出す。
時折面白くなり口元がニヤついたので、スバルに背を向けていて良かったな、と思った。
ところが、私の後方にあるベッドに腰かけるスバルが急に言葉を発したので、少し驚いてしまった。
ス｢＿＿その服、｣
｢……ああ、これのことか。それがどうした？｣
ス｢………ぁ……て……｣
｢ん？｣
ス｢だからッ……に、似合ってるって言ってんだよッ！！｣
｢……ぷっ｣
ス｢ッ笑ってんじゃねぇ！！｣
｢あ、悪いな。つい｣
ス｢……うぜぇ｣
最後に盛大な舌打ちを残し、スバルは部屋を出て行った。
恐らく、みんなのいるあの騒がしいリビングに向かったのだろう。
｢＿＿行くか｣
私も、部屋を後にした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 326人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
【DIABOLIK LOVERS】ライトの双子の姉は吸血鬼に溺愛されています。 【DIABOLIKLOVERS】逆巻家の訳あり長女 貴女「結婚しますね」ﾕｲ「おめでとーっ!!」
【及川徹】私の彼があまりにも浮気癖が悪いので岩泉一と付き合う 『フリ』をしまし...もっと見る
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みゆふぃーゆ(プロフ) - しゅあさん» はい！頑張って下さい！！ (2015年2月7日 22時) (
レス) id: 8f55315e9b (このIDを非表示/違反報告)
しゅあ(プロフ) - みゆふぃーゆさん» ああああありがとうございますっ！！がんばります！！ (2015年2月7日 19時) (レス) id: c40c3f24a5 (このIDを非表示/違反報告)
みゆふぃーゆ(プロフ) - 更新待ってます！頑張って下さい！！この小説大好きです！！！ (2015年2月1日 15時) (レス) id: 8f55315e9b (このIDを非表示/違反報告)
しゅあ(プロフ) - 霧咲さん» 今まで言う言葉のままで使ってました…！公式でもちゃんと確認してきました。ディアラヴァなんですね…。ご指摘ありがとうございました！m(_ _)m (2015年1月5日 21時) (レス) id: c40c3f24a5 (このIDを非表示/違反報告)
しゅあ(プロフ) - かふぇらてさん» 理想の夢主だなんて…なんと嬉しきお言葉っ！！ありがとうございます！がんばります！ (2015年1月5日 21時) (レス) id: c40c3f24a5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しゅあ | 作成日時：2014年7月28日 15時
