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二階です、とエレベーターの自動音声が告げ、開いた扉。
吹き抜け部分を挟んだ向こう側は警察庁の場所ではないらしく、向かい見える会議室のような部屋の扉横には“総務省”の文字が。
私たちが目指す場所は、この警察庁側のエリアの中でもさらに奥へと進んだ場所にあるらしい。
行くぞ、と先導してくれる上司の後について進んで歩く。
降「緊張してるか?」
「…少し。」
後ろを着いて行きながら、このフロアに他の人がいないのを良いことに降谷くんと言葉を交わす。
「どんな場所だろうね。皆さん良い人かなあ。」
降「きっとすごい人達が沢山いるんだろうな……。お互い頑張ろうな。」
目を合わせて拳をこちらに向けてくるもんだから、グータッチ以外に考えられなくて私も拳を返す。
そうか、私たち、これからお互い唯一の同期として定年まで支え合って行くんだ。
コツン、と触れたお互いの拳。私より少し温かい体温と、骨ばった拳の感触がやっぱり私とは違う男性のもので。
…そういえばこの褐色のファンデーションを手の甲に塗りたくって、校長の前で降谷くんの振りをしたなと思い出す。あの変装じゃあ手に触れられた瞬間に変装だとバレていたかもしれない、そんなお粗末な物だったんだ。
自分もまだまだだと今でも感じるのなら、この廊下の先に見える部屋に入ってしまえば私はどうなるんだろう。
一抹の不安が胸に灯るものの、病は気から、という諺を思い出して不安を振り払う。
この先何があろうと、一番頼りにできて、そして一番頼りにされる相手は降谷くんしかいないんだ。前世で降谷くんのトリプルフェイスを目の当たりにしていたもんだから、これから足を踏み入れる組織の多忙さが容易に想像できる。そんな環境の中、庁内でも外でも彼に頼りにしてもらえるように、安心して彼の仕事を任せてもらえるように、これからもっともっと頑張ろう。
ふう、と小さく息を吐いて深呼吸。
見えた扉は、どこにでもあるような白いもので、シルバーの取手がついている。覗き窓は磨りガラス状で外からは全く中の様子を伺えない。中の電気が付いているか消えているか確認するためだけにあるようだ。
男「この部屋は立て札が出てねえんだ。迷うんじゃねえぞ?もし迷っても、この部屋の場所を知っている人間は一握り。辿り着けなくなるからな。」
成る程困った。最初のうちは出来るだけ先輩方と行動しようと心に決めた。
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ののか - この作品のファンです!応援してます! (4月4日 22時) (レス) id: dc038c192f (このIDを非表示/違反報告)
青空(プロフ) - あおいさん» ありがとうございます😭大好きって言ってくださるあおいさんがとっても素敵な方です‼︎心からそう思います!!更新頑張りますねー! (8月12日 17時) (レス) @page6 id: 5e94745166 (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - 続編おめでとうございます!!!!もうこの作品が大好きすぎてやばいです!!!更新頑張ってください!!!!! (7月31日 16時) (レス) id: 418dda50ad (このIDを非表示/違反報告)
青空(プロフ) - 光さん» 光さん!温かいコメントをまたありがとうございます☺︎やっとやっとの公安編ですー!降谷さんとのキュンキュンも書けます!これからもこの作品をよろしくお願いします! (7月27日 23時) (レス) id: 5e94745166 (このIDを非表示/違反報告)
光(プロフ) - 続編おめでとうございます☺︎これからの展開も楽しみです。密かながら応援してます! (7月22日 20時) (レス) id: c03f77c018 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:青空 | 作成日時:2023年7月19日 23時