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「「「はぎわらくぅーん!」」」

女の子たちの呼びかけに、はいはーい♪と応える色男。そんな彼は今日、一段と男前な姿をしている。


9月末日。ヒロくんの用事に松田くんと降谷くんと付き合い警察学校の正門に戻って来た頃には、既に式が始まる10分前になっていた。正門に立て掛けられた看板には、大きく太い字で「初任科第◯期短期課程卒業式 警視庁警察学校」と書かれている。もう人もまばらな看板横を通り過ぎ、急いで体育館へと向かうと体育館に続く外廊下で整列した同級生たちが見える。

なんとか怒られることなく列に紛れ込み、周りの生徒としばし歓談しているとすぐに入場の合図がかかった。

胸を張り、制帽を抱えて堂々と入場する仲間の成長した姿に胸が熱くなる。この仲間たちとは今日でお別れだ。きっと私や降谷くんは、同期生で同窓会が開かれても行くことができない。何なら卒業者名簿にも名前が載らないのかもしれない。少し寂しいと思いながらも、その道を選んだのは他でも無い自分なのだから、と思い直す。
入場をしながら壇上の来賓席を見上げると、先日私の思いの丈をぶつけた大学校長の校長と、ここの校長の姿が見える。

席に着いて座ると直ぐ、校長が来賓席からマイクの前へと移動して長い祝辞が始まる。厳かで緊張感漂う中、大勢の卒業生たちは皆緊張した面持ちでその話に耳を傾ける。
けれども長い話に飽きたのか、松田くんがコソコソと喋り始めてしまうのは仕方がないことなのだろうか?呆れながら松田くんの話を聞いていたおかげで、次に始まる大仕事への緊張が少し解けたのだからよしとしよう。


「卒業証書授与!卒業生代表、工藤A!」


「…はいっ!」





ピンと背筋を伸ばして壇上へと一歩ずつ足を進める。
校長先生が差し出した証書を両手で受け取り、片脇に抱えて壇を降りる。
沢山の人の視線が突き刺さる中、漸く席に戻ると優しく微笑んで待っていてくれた5人と目が合う。

…そうだった。私がこの世界に生を受けた意味はこれだった。この5人を守るために2度目の人生を生きているんだ。

…この命が擦り減ろうとも、必ずみんなのことを守るよ。そう、心の中で宣言しながら微笑み返した。

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青空(プロフ) - あおいさん» ありがとうございます!!!とっても嬉しいです‼︎ (6月29日 21時) (レス) id: 5e94745166 (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - 大好きです!!!!!更新頑張ってください!!!待ってます! (6月19日 7時) (レス) id: 418dda50ad (このIDを非表示/違反報告)
ホワホワ - 1日遅れですが読みました!続きが気になりすぎます!これからも応援してます! (5月29日 21時) (レス) @page41 id: 264214b0c8 (このIDを非表示/違反報告)
青空(プロフ) - ホワホワさん» いつもありがとうございます‼︎今日出したお話も楽しんでくださいね‼︎🌸ホワホワさんのコメントに助けられて3つも更新できちゃいました!🤭 (5月28日 23時) (レス) id: d616d8a279 (このIDを非表示/違反報告)
ホワホワ - めっちゃ面白いです!更新待ってます!頑張ってください! (5月25日 22時) (レス) @page38 id: fb5e568a3b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:青空 | 作成日時:2022年5月3日 9時

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