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先程の柔和な笑みと打って変わった厳しい表情で中村が問うた。

突然現れた降谷、約束の時間に来ない工藤、降谷がどういう訳か工藤との約束場所や時間を知っていたこと。

まさか。
まさか、工藤と降谷は私たちに謀ったのか?
工藤に「誰にも言うな」伝えたにも関わらず、やはり工藤は降谷に情報を漏らしていた。上の立場の者の命令を守ることができていないこの体たらく、警察官とは何たるかをみっちり六ヶ月かけて教える中で一番基本の「命令厳守」の姿勢が崩れている。いくら体術ができていくら頭が切れようと、…まさか工藤に降谷、今学年のツートップがこの有様とは。
二人への期待が桁違いに大きかった分、大きな喪失感に襲われる。警察官の基本が欠けたこの二人を、見逃すわけにはいかない。それは警察官の卵達を見守る年長者の義務だ。…私は二人に、相応の処分を下すしかないようだ。

そして時間通りに現れない工藤。
目の前の男を通して工藤がどこかでこの会話を盗聴し、絶望し、面談に来られないのではないか。
盗聴器を仕込んでの面談など言語道断。だが、それ以外に原因が考えられない。
降谷の答えが何であろうと、否定をしたとしても、盗聴器越しに工藤にも語りかけよう。二人が謀ったことで二人の将来がどう変わるのか。何を思って、どちらが言い出して始めたのかは分からないが、確実にその行動によって片方の人生を狂わせたのだ、と。
中村の言わんとすることを青木も、鬼塚も分かったようで静かに降谷を見つめる。


そんな緊張感の漂う空気の中、6つの目を向けられた降谷は


降「ええ。」

と悪びれもなく笑いながら、中村の問いに応えた。

降「仰る通り、今の会話は全て、工藤も聞いていました。」



….なんと。今年はやっと骨のある奴が公安に来てくれる、と喜んでいた公安部の知り合いの顔が浮かぶ。
老年になると怒りが湧かなくなる。だから、本当に久しぶりにこめかみが力む感覚がした。怒りで腑が煮えくりかえるような心地のまま、座っていた席を荒々しく立つ。

鬼塚と青木が青ざめて私の両の腕を掴んだのと同時に、満足気な笑みを浮かべた降谷と目が合った。

降「…騙してしまって本当にすみません。…でも、これで私は警備企画課に行くことができますね。」

突然何を言っているんだ、と怒りで回らない頭で考えていると、降谷が自身の首元に手をやる。

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青空(プロフ) - あおいさん» ありがとうございます!!!とっても嬉しいです‼︎ (6月29日 21時) (レス) id: 5e94745166 (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - 大好きです!!!!!更新頑張ってください!!!待ってます! (6月19日 7時) (レス) id: 418dda50ad (このIDを非表示/違反報告)
ホワホワ - 1日遅れですが読みました!続きが気になりすぎます!これからも応援してます! (5月29日 21時) (レス) @page41 id: 264214b0c8 (このIDを非表示/違反報告)
青空(プロフ) - ホワホワさん» いつもありがとうございます‼︎今日出したお話も楽しんでくださいね‼︎🌸ホワホワさんのコメントに助けられて3つも更新できちゃいました!🤭 (5月28日 23時) (レス) id: d616d8a279 (このIDを非表示/違反報告)
ホワホワ - めっちゃ面白いです!更新待ってます!頑張ってください! (5月25日 22時) (レス) @page38 id: fb5e568a3b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:青空 | 作成日時:2022年5月3日 9時

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