88: No side ページ43
・
青木「…勿論、知っているよ。日本を代表する推理小説家である前に、警察組織が事件解決に大変お世話になっている方で、何より工藤の実の父親だからな。」
何を突然、というよりどうしてその名前が、と僅かに動揺した様子で青木が言葉を紡ぐ。
その青木の返答を聞いて、ならば話が早いとでも言いたげに満足そうに降谷が笑みを含んだ状態で
降「工藤先生に、言われたのです。」
中村「…何と言われたんだ？」
降「『もしかすると君は卒業後、警備企画課にでも進むのかな？』と。」
…図星だ。何と端的に、的確に、事実を言い当てるのだと、警察組織のトップ層に君臨する二人でさえ一目置く かの推理小説家に今日ばかりは頭を抱える。
中村「それで、なぜそのことが工藤と繋がるのかね。」
降「そう問われた時に聞いたのです。工藤がかねてより目指していた部署がまさにその警備企画課であり、なかなか内定がもらえないらしいと。そこで私に、既に内定をもらっているかどうか尋ねた、と仰っていました。」
青木「ふうむ……」
腕を組んだまま低く唸るのは青木だ。工藤に箝口令を言い渡したのはこの面談を取り決めた時だ。そもそも内定が決まったならばその時点で、特に警察庁に内定した者は所属する部署について周りに教えないことが暗黙の了解となっているが、工藤は内定がもらえないことを実の親に相談しただけのこと。話に上っている部署があの警察庁警備局警備企画課という秘密組織であったとしても、工藤は内定前に話題に出したのであって、相談相手は親であり、箝口令も言い渡される前。何ら問題ない工藤の行動に欠点のつけようもないし、降谷が工藤のことを知ったのも偶然のことだと言うのか。
ふうーーー、と鼻から大きく息を吐き出して
青木「分かった」
と一言青木が告げる。今この瞬間、降谷の話を聞く準備が整った。工藤との約束の時間まで、残すところあと10分。
--------------------------
鬼塚教官は、緊張していた。
こうするのは何度目か。シャツの袖をまくり、先ほどからなかなか進まない腕時計の長針を確認する。
…残り8分。工藤が早めに来たとしても、常識をわきまえていれば応接室への到着は早くて5分前。
…そろそろ、行くか。
最初は応接室でここの学校長と、さらに上の大学校長とともに工藤のことを待とうかと思っていたが無理だった。二人は旧知の仲で、自分はきっと邪魔だろうと気付くのにいくらもかからなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1607人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
青空(プロフ) - あおいさん» ありがとうございます！！！とっても嬉しいです‼︎ (6月29日 21時) (
レス) id: 5e94745166 (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - 大好きです！！！！！更新頑張ってください！！！待ってます！ (6月19日 7時) (レス) id: 418dda50ad (このIDを非表示/違反報告)
ホワホワ - 1日遅れですが読みました！続きが気になりすぎます！これからも応援してます！ (5月29日 21時) (レス) @page41 id: 264214b0c8 (このIDを非表示/違反報告)
青空(プロフ) - ホワホワさん» いつもありがとうございます‼︎今日出したお話も楽しんでくださいね‼︎🌸ホワホワさんのコメントに助けられて3つも更新できちゃいました！🤭 (5月28日 23時) (レス) id: d616d8a279 (このIDを非表示/違反報告)
ホワホワ - めっちゃ面白いです！更新待ってます！頑張ってください！ (5月25日 22時) (レス) @page38 id: fb5e568a3b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：青空 | 作成日時：2022年5月3日 9時
