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「…FBIかなんだか知りませんけど、立派な犯罪ですからね?日本の法律もお勉強して頂きたいで」
『…そろそろFBIになる気になったか?A。』
私の抗議なんてなんのその、我を押し通してくる無神経な男に頭を抱えながら答える。
「だから、あの時からずっと言ってるじゃないですか、私は日本の警察官になるんです。」
『ふむ…。その意志は変わらずか』
「当たり前です。」
『Aがこっちに来たらそれなりの生活は保証するぞ?』
「あなた私とそんなに年齢変わらないFBIの下っ端ですよね?」
『はっはっ、バレていたか。』
「だから電話料金高い国際電話を何度もかけてくるのもやめてくださいね。痛い出費でしょ!」
のらりくらりと続く攻防戦。
そろそろあきらめろ、いやあきらめない。
FBIにはなりません、ではまた電話するよ。
だからもう掛けてくるな、ならこっちに来い。
『Aがウチに来てくれることを思えばこんな出費、安いものさ。…頼む、A。』
「だからっ、」
『ある組織の謎を暴きたいんだ。そのためには、Aの力が必要だ。』
「…」
頼む、ともう一度告げられた言葉。
「まだ…今はまだ、私じゃ力不足です。」
開けっ放しのドアノブを握る拳に力が入る。
ごめんなさい、赤井さん。やっぱり私は、5人を守りたい。
あなたがどれほど切実に父親を探しているのか、痛いほどに伝わってくるのだけれど。
「こうしませんか?…私は、日本の警察官になる。あなたは、FBIの偉い人になる。私は日本の警察官として、あなたは連邦捜査局員として、その組織とやらの謎を明かしましょう。」
『…日本の警察がこちらの応援要請に素直に応えてくれるとは思えないが。』
「きっとなんとかなりますって。」
『…ならAも、日本の警察のお偉いさんになってくれよ。下に幾人も侍らせて、日本の警察の指揮官になるんだ。』
ははは、と笑いながら軽やかに言った、赤井さん。
「…趣味の悪いアメリカンジョーク?」
『いいや、君なら安易になれるだろう?』
「そんなわけ…」
『…だがまあ、君は君の立場から、俺は俺の立場から。組織に噛み付く猟犬になってやろうか。』
その時には頼んだぞ、A。
そう告げて、言いたいことだけ伝えて気が済んだのか切れた電話。
「…一件落着?…。」
この電話番号を、○ンダムの○ャーにちなんで“彗星”の名称で登録する。
もう電話がかからないことを切に願って、廊下へ出た。
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青空(プロフ) - あおいさん» ありがとうございます!!!とっても嬉しいです‼︎ (6月29日 21時) (レス) id: 5e94745166 (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - 大好きです!!!!!更新頑張ってください!!!待ってます! (6月19日 7時) (レス) id: 418dda50ad (このIDを非表示/違反報告)
ホワホワ - 1日遅れですが読みました!続きが気になりすぎます!これからも応援してます! (5月29日 21時) (レス) @page41 id: 264214b0c8 (このIDを非表示/違反報告)
青空(プロフ) - ホワホワさん» いつもありがとうございます‼︎今日出したお話も楽しんでくださいね‼︎🌸ホワホワさんのコメントに助けられて3つも更新できちゃいました!🤭 (5月28日 23時) (レス) id: d616d8a279 (このIDを非表示/違反報告)
ホワホワ - めっちゃ面白いです!更新待ってます!頑張ってください! (5月25日 22時) (レス) @page38 id: fb5e568a3b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:青空 | 作成日時:2022年5月3日 9時