あなたを守るよ。2【降谷零】【名探偵コナン】

63: side 降谷 零 ページ16

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'Twas grace that taught(神の恵みこそが私の恐れを諭し)

my heart to fear(その恐れから)

And grace my fears relieved(心を解き放ち給う)


How precious did(信じることを始めた)

that grace appear(その時の神の恵みの)

The hour I first believed(なんと尊いことか)


新一くんの一言で心の枷が外れた時、同時にヒロとAの二人の顔を思い浮かべた。
初めて会った時からずっと変わらない、優しい笑顔を向け続けてくれる大切で大好きな幼馴染と、僕の外見に偏見を持たずに真っ直ぐ接してくれたA。

トマトと一緒に柔らかく煮込まれたミートローフを口に運び、咀嚼する。じわり、と滲み出る旨味がたまらなく美味しい。

思えば初めてAに会った時から、彼女の姿を目線で追いかけてばかりだった。凛々しい表情で総代を務めたA。拳銃で誰よりも正確に的を撃ち抜いたA。爆弾解体に失敗して悔しさを滲ませたA。それでもその強い使命感から松田に特訓を願い入れ、努力するA。みんなの輪の中心で、ニコニコと笑顔を浮かべるA。そして＿＿俺たちの馬鹿騒ぎを笑顔で見つめるA。
…女神、という敬称がぴったりだなと、最近彼女を見るたびに思う。ヒロのために涙を流す姿を遠目に見て、きっとあの時僕の中で何かが変わったのだろう。

"信じることを始めたその時の 神の恵みのなんと尊いことか"

ヒロやエレーナ先生以外、信頼することなく生きてきた。
特に信頼せずともやっていけたのも理由だった。

それでも、警察学校へ入校して、こいつらとつるみ始めて。
ヒロと同じように、信頼してみよう、と。こいつらなら裏切ることはないだろう、と。

神は、僕にかけがえのない仲間を恵んでくれたようだ。


目の前で美味しそうにご飯を食べるAに目をやると、ん？と言いたげな表情をしたAと目が合う。



But God, Who called me here below(私を召された主は)

Will be forever mine(永遠に私のものだ)


Amazing Graceのこんな一節がふと頭に浮かんで、カッと顔に熱が集まる。

…でも。

不思議そうな顔をしたAを見つめながら、Aを近くで守れる部署に就けたら幸せだろうな、と思う。
この気持ちが何なのか、はっきり口に出す気はないが。近くでAを見守りたい、と思うくらいは許してくれよ、神様。

最後の一口のミートローフを頬張りながら、神にそう語りかけた。

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