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「っ、あと10秒だ!!」
「工藤!最後に赤色!」
「っ!違う、下の方の赤色だ!」
赤、黒、黒、黒、赤、黄色
パチンッ
複雑に絡み合った線を掻き分けて、目当ての線をニッパーで切る。
ドキドキと鳴る自分の鼓動がうるさい。
上下する肩、どれだけ吸っても吸った感覚のしない酸素。
チラ、とタイマーを見ると、00:06:34から動かない表示板。
…と、とまった…。
ふう、と息をつき、ニッパーを離そうとしたその時
ピ、ピ、ピ、ピピピピピピ…
「!?なっ、!」
「まだ止まってない!」
「、、、こいつトラップ付きか…!?」
『はっ、、離れてっ!みんな!』
ピーーー
「ブーッ、ブーッ、ブー」
…確かにタイマーは止まった。解除したのに、再び息を吹き返した目の前の物体。
ブー、ブーと鳴り続ける無機質な音は失敗への悔しさを駆り立てる。
「……い、……う!…い、おい、大丈夫か!?工藤!」
『っ!』
目の前の物に意識を取られていたところからパーティーの子の呼びかけで我に帰ると、みんなが心配そうな顔で私を見ていた。
「おまっ、工藤顔色悪いぞ…」
「大丈夫だ、工藤。これ"擬似爆弾"なんだからそんな落ち込むなって!」
「そうだ、気にすんなって!俺らの指示に時間掛っちまったし…」
「そうだよ、工藤さんはちゃんと線切ってたんだから」
ブー、ブー、と鳴り続ける機械を取り上げて山本くんが後ろの電源を切った。
訪れる静寂に、周りのパーティーはすでに解体が終わっていたことを知る。
爆発物処理。私にとって初めての試み。
前世でも警察官だったけれど、爆発物の処理なんて警察学校で習わなかった。流石、コナンの世界…と思いながら、(解体図通りに切っていくんだよね)と軽い気持ちで始めた解体。だけど、結果は失敗。
授業はひとまず終わりなので整列し、教官の話を聞きながら巡る思考が止まらない。
本物だったら、死んでた。解体してた私はまず助からないけど、周りにいる人たちも巻き込んじゃうんだ。今日、そのことを身をもって体験した。
改めて襲ってくる恐怖にひゅっと喉が締め付けられる。
…そして…萩原くんも、松田くんも。まさに今日の私みたいな状況で、爆弾のせいで死んでしまうんだ。
二人を失ってしまうかもしれないこの先の未来を実感して、指先が厭に冷えている。
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青空(プロフ) - cherry*さん» cherryさんありがとう!ヒロやみんなのこと、再現できているみたいでよかった。作者が見切り発車するせいで僕と主人公が公安警察に所属するのはいつになるやら…。だけどまだまだ警察学校での楽しい日々は続くから一緒に楽しんでくれ!降谷。 (2022年4月29日 23時) (レス) id: 04a0a3d78f (このIDを非表示/違反報告)
cherry*(プロフ) - このお話大好きです、、!一つ一つのキャラがしっかりしていて、崩さずに主人公とお話させてるのほんとに天才だと思います!!めっちゃ応援してます!(あわよくば降谷希望です、、、) (2022年4月29日 20時) (レス) id: c527621d7e (このIDを非表示/違反報告)
青空(プロフ) - belleさん» わあわあわあわあ!!!!こんっなに嬉しいコメントありがとうございます!私の妄想が暴走しないように頑張ります笑とりあえず警察学校組と新一くんを絡ませたい今日この頃です。。早く降谷さんとくっつけ!て思うんですけど汗。更新気ままに頑張ります!! (2022年4月19日 21時) (レス) id: 8bcc0b53e4 (このIDを非表示/違反報告)
belle(プロフ) - 初めまして!久しぶりに見入っちゃう小説に会えて一気見しちゃいました、笑 降谷さんと結ばれるの楽しみです^ ^更新楽しみにしてますね! (2022年4月19日 0時) (レス) @page41 id: a2ba23688b (このIDを非表示/違反報告)
青空(プロフ) - 読者さん» 嬉しすぎます‼︎早く警察学校組を出したくて出したくて(笑)読んでくださってありがとうございます!感想頂けて私飛んで喜んでます♡ (2022年4月3日 15時) (レス) id: 8bcc0b53e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:青空 | 作成日時:2022年3月28日 19時