あなたを守るよ。【降谷零】【名探偵コナン】

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この世界は、危ない世界と隣り合わせなのよね。」

有希子さんが、眉を下げて悲しそうに言った。

有「何も知らずに生きていたのに、ある日、危ない世界を少し見て知ったの。平穏を守っている人たちは、人知れず危険なところに身を晒して、必死で私たちを守ってくれているんだって。…Aちゃん。」

「…母さん…」

有「私ね、Aちゃんがすごーく危険な道に進もうとしているんだなって分かるのよ。優作だって気付いてるわ。でも、それがAちゃんの選ぶ道で、Aちゃんがこの世界のみんなの平穏を守る人になるんだって言ったら止められっこない。…だから…」

有希子さんが、ぎゅっと私の手を握る。

有「Aちゃんが、ちゃんと頼れる仲間を見つけてくれて本当に嬉しかった。あの5人、みーんなAちゃんのナイトねっ！」


最後に花の咲く満開の笑みで微笑んだ有希子さん。
お茶目で、可愛くて、世界一のいつもと変わらない有希子さん。

「…ありがとうっ。」

でも有希子さんが私のことを心配してくれていることも、声が少し震えていることも、全部伝わってくる。少し強がりを言って私を不安にさせないようにしてくれたことも。

「またみんなのこと、紹介するよ。お母さんも絶対気にいっちゃうから！！」

ごめんなさい。でも、今はもう少しその優しさに甘えさせてほしい。
あと少しで、会えなくなるかも知れないから。もしもゼロに配属されたら、工藤Aという人間が存在したことは機密事項になるだろう。
その前に、たくさんの思い出を刻んでほしい。
私が存在した証拠がなくなっても、記憶に留めておいてほしい。こんな素敵な家族に、忘れられたくない。

いつまでも甘えてしまって、我儘な自分が嫌になるけど、有希子さんと優作さんはそんな私を優しい笑顔で包み込んでくれるんだ。


ごめんね、と、大好きだよ。

二つの思いを込めて、最後にぎゅっと有希子さんの手を握って、離した。

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