あなたを守るよ。【降谷零】【名探偵コナン】

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「ねえそろそろ離してくれない？」

松「んーー」


さっきまで口を開けて笑っていたのに、今度は形のいい唇をきゅっと引き締めて、むーんと言って見つめてくる。
なんていうか、何をしても様になるんだもんなぁ。緑と青が混ざったような色の瞳に、吸い込まれそうになる。

松「顔はなー、見たことあんだよ。あの人確かハタチで急に引退した伝説の女優さんだろ。でもな、名前が出てこねえ…」


タッタッタッタッタッ…

突然聞こえてきた音。
誰かが廊下を走る音。


「ね！ほんと離して！」

聞け！聞こえてるのか！？
肩を押してなんとか逃れようとするんだけど、びくともしない。

この光景を誰かに見られたら終わる…
今の私の姿は。脇に手を突っ込まれて身動きが取れないただの馬鹿。
今日が警察学校の初日で、無事に総代も務めて1日を終えられると思ったのに。



ガラガラガラガラ…

？「はっっっ！？えっ！？ちょっちょっ」


ガッターン！バーーーンッ


萩「じんぺーちゃん、これどーゆー状況！？」


…終わった、、足音の主、萩原さんかよ。
教室の扉を勢いよく開けて、盛大に角の机を蹴り飛ばした萩原さんに、なんとも間抜けな姿を見られてしまった。

松「んあ、萩！ちょうどよかったぜ、聞きたかったことが

萩「その前に！状況説明！プリーズ、ワイ！？」


＿＿＿＿

萩「ってことがあってさー？」

諸「何があったんだよ、松田と工藤のあいだに」

萩「そうなるよなぁ！？一人で目撃した俺の気持ちよ！イケナイ関係になっちゃったのかと思った…」


私の向かい側に座った萩原くんが隣の諸伏くんにさっきのことを面白おかしく話してしまっている。

だんだん顔に熱が昇っていて、多分今の私は真っ赤だ。
目の前に並んだ美味しそうなお魚にも手がつけられない。


結局あの後、何も話せない私、何も聞いてこない松田くん、状況を飲み込めていない萩原くんの静寂を破ったのは、夕食を知らせるチャイムだった。

とりあえず脇の拘束は解かれ、3人で食堂まで走ったものの。
有無を言わさず座らされたのは松田くんの隣の席。
私の向かいには萩原くんが座り、席が空いてなかったとかで降谷くんと諸伏くん、そしてそして伊達班長までもがわらわらとやってきた。

私の左に降谷くん、右に松田くん。
降谷くんの向かいには諸伏くんがいて、向かって右に萩原くん、伊達班長と続く。
…尋問かな？見事に包囲されたけれども。

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