あなたを守るよ。【降谷零】【名探偵コナン】

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松「ああん？」

「………」


松「は？なんか言えや？おめえ俺の命狙ってんのか」

「……………」


頭上から聞こえる不機嫌極まりない男の声。その顔は左の眉だけが器用に上にあがり、口は右上がりに歪められている。

いや、何この状況。ベストオブイケメンの松田さんに壁ドンを喰らわすという大惨事。あ、ちがう、肘ドンだわ。両肘ドンだわ。
下手に動いたら目の前の胸板に突っ込みかねないため、逆に冷静になった私の頭がぎゃあぎゃあとうるさい。
ああだめだ、腕の筋肉プルプルしてきた。あ、も、やば…突っ込みそ…

…にしてもどうしてさっそくこんなに大ピンチ？？




遡ること4時間弱___


萩「お！みんなぁー、本日の主役様のお戻りだぜ！」

教室に少し遅れて戻った私に、萩原くんがかけた一言。
扉を開けたら萩原くんの目とバチっとあって、ニコッと微笑んでくれて、まして私が入りやすいよう気の利いた一言を言うもんだから…モテる男はすごい。


男1「すごかったな！」

男2「まじかっけーーー」

女1「Aちゃんが総代だったなんて！」

女2「え、ほんとそれな！？びっくりしたよね！？」

女3「だよね、あんな美人で優秀なんて…」

女2「神も理不尽だわ！」


ざわざわと再び喧騒に包まれた教室。

あまり悪く言ってくる人がいなくてよかったな、と安堵して席に戻る。椅子を引くと、隣の席の子が「おかえり」と言ってくれた言葉に嬉しくなって「ありがとう」と返した瞬間、近くで只者ではない気配を感じた。


？「おい。」



降「工藤A。」

右上にゆっくりと首を動かして見ると、制服のポケットに手を突っ込み不機嫌そうな顔の降谷零と目が合う。
…なるほど…この気配の正体、降谷さんか。

「…なによ？」

降「お前、」


バチバチと、私たちの間で火花が散っているかのような緊張感が漂う。降谷さんの青い目を見つめると、そういえば朝一で目を逸らされたことを思い出した。何か彼の気に触ることをしただろうか、と逡巡しながら彼が続きの言葉を発するのを待つ。
クラスメイトたちもこの金髪美少年の漂わせる不穏な空気を察知して、先ほどまでの喧騒が嘘だったかのように静まり返る。

降「……………」

「………何、なのよ。というかあなた、名前は？」

降「…ふるや。降谷零だ。」

「……降谷くん、ね。」

降「…………」


よろしくね、と言うのも憚られ、何も言えずに沈黙が漂う。
いや、本当になんなんだ。どうしたんだ。
お願いなんか言ってくれ！

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