第六話 使い魔召喚の儀 ページ9
翌日。早朝から起き出して島内をジョギングし、部屋に戻ったらシャワーを浴び、星レモンジュースを作って飲み、魔力の循環をバッチリ整える。
｢はあ〜。我が家のレシピで作った星レモンジュース、気分もスッキリするし最高。他のレシピも何か試してみようかな｣
古い羊皮紙に
｢……ん？｣
何だろう……星レモンジュースのページに、妙な違和感を覚える。
文字やイラストが震えていると思ったら、
｢わっ!?｣
それらがいきなり弾けてページ上を暴れだし、そのページに書かれていた文字がどんどん書き変わっていく。
｢何これ、凄い｣
そこには手書きで、このようなことが書かれていた。
日記へ
今日は最悪の気分です。自慢の髪をあの男に切られてしまったから。
お返しに自慢の糸で吊し上げの刑に処してやりました。
呪文はコレ。
ルキ･リエ･シリ･ア―――
追記：使い魔が野イチゴをたくさん採ってきてくれました。
明日は野イチゴのクッキーを焼いて、やけ食いです。
｢……日記？｣
日記へって書かれてるくらいだし、多分そうだ。
ぐいっと星レモンジュースを飲んでしまうと、ページは静かに元のレシピに戻った。
｢ああ……なるほど。ページに書かれていたレシピ通りのものを作って、それを飲んだり食べたりしている間だけ、内容が日記に書き変わるのね｣
私は天才なのでそういうところにすぐ気がつく。
｢第一呪文のどこかに名前が隠されているはずだから、この日記の筆者はルキさんかリエさんかシリアさんってとこかな。女性よね｣
いつの時代の魔女かは分からないが、面白い仕掛けをしたものだ。
｢ていうかアリア、そろそろ起きなよ〜。意外と寝坊助さんなんだから｣
今日から早速授業が始まる。最初にして、最大の山場でもある。
ケレアレン魔法学校の伝統行事でもあるのだが、まず一年生は “使い魔召喚の儀” を行うのだった。
この魔法学校には高性能な魔法生物召喚陣があり、それを使えば未熟な魔術師でも、魔法生物を召喚し、使い魔として使役することが可能だ。
ただし現れる魔法生物には各々差があり、それには家系だったり、生まれ育った環境だったり、性格だったりが反映される。
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作者名：オムとセナときどきパール | 作成日時：2019年12月19日 17時
