仲の良い二人 ページ8
チャイムが鳴り、みんな次々に帰っていく。
そしてA子はというと、未だに帰る準備をしていた。
「A子、早く！」
いつも通り、一緒に帰るBを困らせていた。
「すぐ終わるからー！」
そう、のんきに返事をする。
すると、どこかから声が聞こえることに気がついた。
「Sちゃん、やっぱり背高いねー！」
「ありがとう………？」
そこには、窓拭きをしている、SとA子のクラスメイトのDがいた。
Dが背の届かない場所を、Sが拭いてあげているようだ。
「二人とも、今日はどっちか窓拭き当番なのー？」
A子が尋ねる。
「A子ちゃん！そう、今日は私が当番なんだけど、Sちゃんが手伝ってくれてるんだよね！」
満面の笑顔でそう言う。
「そーなんだー！Sちゃん優しいね！」
「ちょうど、一緒に帰る予定だったし……」
Sが、恥ずかしそうに言う。
「Bちゃんとは大違っ…」ドンッ！
A子が言いかけた瞬間、Bから拳が飛んできた。
「A子………？」
「ああ、ごめんごめんー！」
「……でも、SちゃんとDちゃんってホントに仲良いよねー！」
そう、SとDはとても仲が良く、よく一緒に買い物などをしている。
「でも、なんでそんなに仲良いのかなぁ？」
「確かに気になるな。」
二人がそう言うと、Dはこう返した。
「それはねー！Sちゃんと、本当の友達になったからかな！」
自信ありげにそう言う。
「本当の友達？よく分かんないけど、DちゃんにとってSちゃんは、特別なんだね！」
「なんか、恥ずかしいな……」
「ホントのことなんだしいいでしょ！」
そう言うと、持ち前の明るい笑顔で、Sに肩を寄せる。
「ちょっと、Dちゃん……！」
Sも、心なしか嬉しそうな顔をしている。
「…って、そろそろ帰らないと。」
A子は時計を見てそう言った。
「うん。
二人ともごめんね、A子の話に付き合わせちゃって。」
「全然いいよ！楽しかったし！」
Dが言う。
そしてA子は、準備をすぐに終わらせ、カバンを背負う。
「じゃーねー、二人ともー！」
「バイバイー！窓拭き頑張ってね！」
「うん！ありがとう！」
「またねー！」
A子とBが、教室から出ていく。
廊下からは、楽しそうな喋り声が聞こえてくる。
「A子ちゃんとBちゃんって、本当に仲良いよね。」
「うん、そうだねー！」
そんなことを話しながら、二人は再び窓拭きに取りかかる。
この二人の絆は、きっと誰も破ることは出来ないだろう。
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作者名：える/妹 | 作成日時：2021年3月22日 1時
